19世紀末のヨーロッパで一世を風靡した画家アルフォンス・ミュシャ。ミュシャの作品169点を集めた展覧会が、4月8日から福岡市美術館で開催されます。


◆“大女優サラ・ベルナールが気に入った” 


豪華な髪飾りをつけた女性。アルフォンス・ミュシャの代表作「黄道十二宮」です。12の星座が描かれていて、もともとはカレンダーとして制作されました。


1860年にチェコで生まれたミュシャは、27歳のときに画家になるためフランス・パリに出ます。まだ無名だったミュシャは、小説や雑誌に挿絵を描いて生計を立てていました。運命が変わったのは34歳の時。大女優サラ・ベルナールが主演の演劇ポスターの制作を任されたのです。



展覧会コーディネーター ヴァレンティンさん「これは最初のサラベルナールのポスターです。このポスターでミュシャはパリで有名になりました。サラベルナールが、これこそ私が求めていたものだと言ったんです」

◆ポスターを消耗品から芸術作品に高める


衝撃的なデビューを果たし、その名が知れ渡ったミュシャ。次々に仕事が舞い込み、これまで消耗品だった「ポスター」を芸術作品へと引き上げました。多くの作品にみられるミュシャの絵の特徴は、優雅な女性に花などの植物、なめらかな曲線、そしてエキゾチックな装飾です。


展覧会コーディネーター ヴァレンティンさん「ミュシャは女性を描くのが好きで、マカロニ・スパゲッティみたいな髪。これが後に人々からミュシャスタイルと呼ばれるようになりました」

◆装飾パネルのシリーズ《四季》


ミュシャの作品の中でも人気を博したのが、春夏秋冬を女性の姿に置き換えた装飾パネルのシリーズ《四季》です。装飾パネルは、油彩画と比べて値段が安く気軽に購入できたため、多くの人が部屋に飾って楽しんだそうです。

RKB下濱美有「一世を風靡したミュシャの作品は、庶民の日常生活に溶け込んでいきました。香水やお菓子のパッケージと、まさにデザイナーのミュシャでもありました」


展覧会コーディネーター ヴァレンティンさん「クッキー、チョコレート、たばこなどミュシャがデザインすれば、よく売れたんです」


ほかにも商品パッケージのデザインや彫刻や油彩画など、マルチな才能を発揮しアール・ヌーヴォーを代表する画家となったミュシャ。繊細で華やかな作風は、時代を超えて愛され続けています。