奄美大島では日米共同訓練「オリエント・シールド」が今月20日から始まり、21日は有事に備えた沖縄からの物資輸送の訓練が初めて行われました。奄美で相次ぐ日米訓練、その狙いはなんなのでしょうか?

21日朝、名瀬港に到着したアメリカ軍の揚陸艇。有事を想定し、沖縄から奄美に物資を運び込む訓練です。奄美大島では初めてで、奄美市の公園に集積した後、奄美駐屯地と瀬戸内分屯地へ運ばれていきました。

20日から奄美大島で始まったオリエント・シールドは、陸上自衛隊150人・アメリカ軍35人が参加していて、海洋進出を活発化させる中国と、台湾有事を念頭に置いた島しょ防衛の強化が目的とみられています。

奄美大島で初となった物資輸送の訓練。中国の軍事動向に詳しい専門家は「素早い部隊の展開」が狙いだといいます。

(笹川平和財団 小原凡司・上席フェロー)「兵士が使用する兵器、弾薬、食料などを事前に(離島に)集積しておけば、部隊が到着したらすぐにそれを使って作戦を実施できる」

訓練には、ロシアの侵攻を受けるウクライナにも供与されているアメリカ陸軍の高機動ロケット砲システム「ハイマース」が去年に続き参加。今回初めて、陸上自衛隊の多連装ロケットシステム「MLRS」の展開訓練も非公開で行われています。

(笹川平和財団 小原凡司・上席フェロー)「MLRSは一度に12発のロケット弾を撃つことができ、敵の艦艇を狙うこともできる。(訓練によって)自衛隊と米陸軍が、防衛作戦をしっかり行える能力があることを示せる」

奄美大島での日米訓練は3年連続で、来月はさらに別の訓練が、奄美大島を含む南西諸島で初めて予定されています。訓練が相次ぐ背景については…。

(笹川平和財団 小原凡司・上席フェロー)「中国のミサイルの射程が伸びて性能が上がり、大規模な部隊を基地に置く危険が高まっている。(奄美各地で)小規模な部隊による訓練を繰り返し行う必要がある」

奄美大島での日米訓練オリエント・シールドは、23日まで行われます。