カラフルなこちらのコースター、実はペットボトルのキャップが姿を変えたものです。こうしたプラスチックごみに新たな命を吹き込み、ごみの削減をビジネスにつなげようと活動する女性が日置市にいます。

岡田香織さん、31歳。日置市の地域おこし協力隊=サキガケ日置市民に採用され、去年6月から活動しています。東京から単身、移住しました。

(岡田さん)「(日置市民と)一緒になって地域のアピール、地域ならではのことをプラスチックを使ってやれたら、おもしろいことができるのではないかな」

岡田さんの活動テーマは「環境」。特にプラスチックごみによる環境問題の啓発に力を入れ、市民対象のワークショップや映画の上映会、海岸清掃などに励んでいます。

この日は、吹上浜でプラスチックごみを拾いました。壊れたバケツやちりとりのようなものなど、20分ほどで袋がいっぱいに。

(岡田さん)「かわいくないですか。このデザインが。日本のではない感じ。リンスやシャンプー。海外からのごみも多く流れ着いている」


岡田さんが「環境」を強く意識し始めたのは、勤めていた大手銀行を辞め、青年海外協力隊員として27歳のときに渡ったマレーシアでの生活がきっかけでした。

(岡田さん)「地元の人が道端などにプラスチックのゴミをポイポイ捨てるのを見たりとか。ゴミ処理の体制が整っていないので、どんどんゴミが処理されずに積もっていくという状況」

環境を悪化させる現実を目の当たりにした岡田さん。帰国後、日置市で本格的に取り組み始めたのが環境保全とビジネスを両立させる「プレシャスプラスチック」という活動です。
オランダが発祥で、プラスチックごみを資源と捉え、価値のあるものに再生し、地域で循環させようというものです。

岡田さんは、活動に協力してくれる会社の一角を借り、市内で集めたプラスチックごみを新たな製品としてよみがえらせます。並ぶ機械は自分で作ったものも。

(岡田さん)「これはシュレッダーで、ここにプラスチックを入れると、この中でブレードが回転して、入れたプラスチックを破砕していく」

溶かしたプラスチックを金型に流し、冷やすと。カラフルなコースターができました。

岡田さんはこうした製品を販売することで、もとはごみだったプラスチックを地元の資源として活用する日置市ならではのビジネスモデルになればと考えています。

(岡田さん)「地元に落ちているプラスチックを、資源として使う、地元で使う、地元の人が作るということをするので、他の食べ物とか木材とかの資源と同じようにとても良いことだなぁと思う」


この日は、日置市役所にペットボトルキャップの回収に訪れました。岡田さんの取り組みは市の職員にも浸透しています。

(日置市役所・企画課 馬場なぎささん)「(岡田さんは)“プラスチックは愛だから”というメッセージを使っていて。使い方を考えようねというのは、みんな受け入れやすいのかなと思う」

(岡田さん)「プラスチックごみを再利用したものが手に取りやすいところにある状況とか、プラスチックに関する知識を増やせるようなイベントや機会が身の回りにたくさんあるという状況を広げていくのは大事なことかなと思っている」

これからも、市民を巻き込みながら、プラスチックごみに新たな命を吹き込みます。