中国の海洋調査船が奄美大島沖の日本のEEZ=排他的経済水域で先月末から無断で調査とみられる活動を繰り返す中、14日夜、別の調査船が徳之島沖のEEZでも活動していたことが分かりました。

第十管区海上保安本部によりますと、14日午後7時ごろ、徳之島の西およそ220キロの日本のEEZ=排他的経済水域で、中国の海洋調査船「同済」が船尾からワイヤーのようなものを海中にのばしているのを、警戒中の巡視船が確認しました。

巡視船が無線で「同意を得ない科学的調査は認められない」と中止を求めたところ、2時間半後の午後9時半ごろ、ワイヤーのようなものをすでに引きあげているのを確認したということです。詳しい目的などは分かっていません。

その後、「同済」がEEZに留まっているかどうかについて、十管は明らかにしていません。

EEZ内では先月28日から今月13日にかけて、別の海洋調査船「向陽紅22」による活動が奄美大島の西およそ400キロで7回確認されています。

船の航路が確認できるサイトで調べたところ、「向陽紅22」は先月26日から今月15日までの20日間に、長さおよそ60キロ・幅6キロの海域を少なくとも22回航行していたことが分かりました。

南西諸島の防衛などを研究する専門家は、ガス田などの資源調査、または海洋進出を進める中国軍が潜水艦を太平洋へ向かわせるため、海流や海水温を調べている可能性があるといいます。

(大阪成蹊大学・佐道明広 教授)「この地域は日米中で軍事的緊張が高まっている。海洋の現状を把握する必要があって、調査しているのは」

現場の海域は日中の中間線にあり、その境界を巡っては主張に隔たりがあります。中国側は自国に権利がある海域と主張しているだけに、活動はしばらく続くとみています。

(大阪成蹊大学・佐道明広 教授)「非常にあいまいなグレーなゾーンで、日本の状況を見ながらデータを集めている。(海保が)いろいろ警告しても聞き流して、計画した活動をするだろう」

十管は引き続き、巡視船で周辺海域の警戒を続けるとしています。