今回の特集はこちら、ハンセン病元患者の家族による手記です。ハンセン病への理解を深めてもらうために啓発活動を続ける奄美大島の男性を追いました。動画はYouTubeでご覧いただけます。

(手記)「父が消えた。縁側で下駄を造っていた父が、消えた。」

ある男性が書き始めた手記です。

奄美市に暮らす、赤塚興一さん(86)。自分の人生をたどる時、どうしても忘れられない記憶があります。

(赤塚興一さん)「小学校2年の3学期の頃、お巡りさんと区長さんと県の職員3人が来て、うちの親父を連れて行った。ハンセン病の施設が奄美にもあるわけですよね」

父親は、ハンセン病の患者でした。

ハンセン病は、らい菌によって皮膚や末梢神経が侵される病気です。感染力は弱く、戦後に特効薬が導入され完治する病気となりましたが、国による強制隔離政策で、患者たちは社会と切り離されました。

(赤塚興一さん)「42歳の時、隔離っていうのかな、言うなれば“拉致”ですよね」