高知県出身の軍人が最後の艦長を務めた日本軍の軍艦が熊本県天草市の海に沈んでいます。沈没から80年以上がたった今、初めての水中調査が計画されています。

「長良」は旧日本海軍の軽巡洋艦で、1944年8月7日、熊本県牛深沖でアメリカ軍潜水艦の攻撃を受け沈没しました。牛深町には記念館があり、船員の写真などおよそ500点が展示されています。

(軍艦長良記念館の立ち上げに関わった福本壮一さん)
「天草近海にはアメリカの潜水艦がたくさん来ていました。長良は牛深沖で沈んだんですけど、その近くで5月にすでに輸送艦がやられてます」

長良の最後の艦長を務めた中原義一郎(なかはら・ぎいちろう)海軍中将。明治33年=1900年に現在の香美市物部町に生まれ、海軍に入った後は、駆逐艦の艦長などを歴任しました。

京都の中学校に進学したため、高知で暮らした期間はあまり長くありませんが、香美市にある殉国の碑にはしっかりと名前が刻まれています。

中原艦長は沈没の際、347人の船員とともに沈み、今も海の底に眠ったままとなっています。

沈没から82年が経とうとしている7月下旬、初めてとなる潜水による調査が計画されました。プロジェクトを手がけるのは、水中探検家の伊左治佳孝(いさじ・よしたか)さん。2025年、中原艦長の遺族から「長良」の話を聞いたことがきっかけで、プロジェクトが始動しました。

(水中探検家 伊左治佳孝さん)
「戦後80年を超えてというところで、語り継ぐことの困難さということも言っていたので、我々の活動が役に立てればなと思っています」

調査は伊左治さんら2人が長良が沈む水深80メートルまで潜水し、船体やマストを撮影する計画です。これまで、ケーブルをつないだカメラを海に沈めて撮影した事例はありますが、有人での撮影は初めて。実現すれば、国内初となる沈没した日本軍艦の有人撮影となるということです。会見には中原艦長の孫、西中誠一郎(にしなか・せいいちろう)さんも参加し、期待感を示しました。

(中原艦長の孫 西中誠一郎さん)
「今現在、長良がどういう状況なのかという映像が出てくるということは、今後の課題を解き明かしていく、いろんな出会いのきっかけにもなりますし、本当に貴重な機会だと思っている」

水中調査は7月20日から行われる予定です。