「猫にまたたび」のことわざにもある通り、ネコがマタタビを好むことは古くから知られていますが、その行動がネコの身体に悪影響はないかなどを岩手大学と名古屋大学、そしてリバプール大学の研究チームが明らかにしました。

【ネコがマタタビ好きなのはなぜ?】
岩手大学農学部の宮崎雅雄(みやざき・まさお)教授と博士課程2年の上野山怜子(うえのやま・れいこ)さんらの研究グループはこれまで、


○ネコがマタタビに身体を擦りつけるのはマタタビに含まれるネペタラクトール、マタタビラクトンといった「蚊を遠ざける」成分を身体に着ける目的があること

○マタタビの葉を舐めたり、噛んだりするのはマタタビから発せられるこれらの成分比率を変え、効果を高めるためであること

を明らかにしてきました。

岩手大学農学部 宮崎雅雄教授

上野山怜子さん


【研究室に手紙が・・・】
こうした研究成果はネコ好きの人々の反響を呼び、「家の庭では同じマタタビ科のキウイの根にネコが寄ってきて寝っ転がっています」など、一般の人から研究室に手紙が届くほどになりました。
大学の研究室に一般から手紙が届くというのは極めてまれで、宮崎教授は「我々の研究が人々の暮らしに繋がっている」とやりがいを感じています。

【ネコにマタタビ、依存性は?】
一方で、ネコにマタタビを与えると酔っぱらったような行動をとるため、「依存性や毒性がないか」と心配する声も少なくありません。
そこで宮崎教授と上野山さんは10匹のネコにマタタビを与え、4時間にわたってネコの行動を観察しました。
すると意外なことにネコがマタタビに触れたのは4時間中10分間ほどに過ぎず、ネコのマタタビ反応に依存性がないことが分かりました。
またネコにマタタビを与えることによるストレス反応や肝臓・腎臓への悪影響も見られませんでした。

【マタタビ反応は世界へ】
今回の研究成果は世界初で、9月28日付のアメリカの科学雑誌「iSience(アイ・サイエンス)」に掲載されました。


また動物病院向けに薬の製造をしている東京の企業がマタタビの葉を原料にしたスプレーを岩手大学と共同開発。28日、インターネットを通じて発売しました。


研究成果が世界で評価された上野山さんは18歳の雑種のネコ、「レモン」を飼っていて、これで安心してマタタビを与えられると喜んでいました。