こうした取材から見えてきたのは本来、待機児童の受け皿として期待される制度を“不適切に利用しているのではないか”という疑惑でした。
今回、札幌市の認可外保育園が過大請求していた助成金。これは2016年度に待機児童を減らす目的で、国が導入した「企業主導型保育事業」という制度に基づくものです。

財源は「子ども・子育て拠出金」で、これは、厚生年金に加入する全国の企業から集めたお金がもととなっています。
助成事業の実務は、国の子ども家庭庁から委託を受けた「児童育成協会」が行います。企業主導型保育園が、児童育成協会に助成金を申請するという仕組みです。
助成金給付の、詳しい仕組みです。

保育園は「児童育成協会」に対して毎月、園児や保育士の数などに応じて助成金を請求します。夜間保育や延長保育などによる加算もあるため、今月はこのくらいになるという“見込みの金額”で事前に請求しています。そして年度末に、実際にかかった費用を計算して、その差額を精算するという仕組みです。
今回の保育園の場合は、その差額は約4700万円と多額です。今年1月中旬が、差額を精算した金額の返納期限でしたが、この保育園から支払われていません。
同じように助成金を申請している別の保育園によると、返納分は通常、数十万円程度ということです。