愛知県田原市で地域のブランド品に認定された養殖アサリの出荷が始まりました。「中国産」を「熊本産」として販売する産地偽装が発覚して1年。日本一の漁獲量を誇る愛知のアサリの現状を取材しました。

きょう(21日)初出荷を迎えた「渥美垂下(すいか)あさり」。その名の通り、愛知県内で取れた直径3.5センチ以上のアサリを、栄養豊富な三河湾の海中に「垂れ下げて」1か月以上養殖したブランドアサリです。身が大きく、砂抜きをしなくても食べられるのが特徴です。

(アサリ漁師 細田光則さん)
「天然アサリより少しやわらかく身の縮みが少ない。料理をした時に、身がかなり入っていると思うくらい入っている」

手間暇をかけて養殖することで付加価値を付けたこの「渥美垂下あさり」は1キロあたり3240円。籠の中で養殖するため他のアサリに比べて大量に出荷することはできませんが、初日だけで予定の20分の1となる50キロの注文が入りました。アサリが入った箱の中には、産地を証明する「出荷証明書」が。

そのきっかけとなったのが…。2022年1月、CBCテレビの取材で発覚したアサリの産地偽装問題。中国や韓国から輸入したアサリを熊本の干潟に入れて短期間で回収し、熊本産と偽って販売していたもので、食の信頼を揺るがす社会問題に発展しました。

問題の発覚後、偽装された熊本産アサリは市場から一掃されました。

(パワーズ東脇店 正木宏和店長)
「愛知産の値段が上がっていて、非常に扱いにくくなっている。仕入れの価格で2倍から3倍くらいになっている」

年々漁獲量が減っていた国産アサリの希少性が浮き彫りになり、愛知産をはじめ価格が高騰。2022年2月、豊橋市のこちらのスーパーではアサリの取り扱い自体をやめていました。

きょう(21日)、改めて同じスーパーを訪ねてみると、愛知産のアサリが並んでいました。

(パワーズ東脇店 正木宏和店長)
「産地偽装の問題が起きて直後は値段がすごく高騰して、店舗での取り扱いがほとんどできない状況まで値段が上がった。少しずつ値段は下がっているが高値で止まっている。今は比較的安定して販売できている」

元々100グラム当たり150円程で販売されていた愛知産のアサリ。偽装問題の発覚後、3倍近く値上がり、現在は250円程で高止まりしているといいます。

(買い物客)
「国産は特に今、高い」
「酒蒸しにして食べるので買うことがある。(高くても)おいしければ買う」

「熊本産」の偽装発覚から1年が経ち、旬の季節を迎えるアサリ。正しい産地表示で、消費者に届けられます。