ことし8月から、再雇用の制度を「70歳まで」に広げるトヨタ自動車。
人手不足が深刻化しシニアの就労拡大が注目される中、愛知県豊橋市には創業当初から「定年がない」会社があるんです。
トヨタ自動車が発表した再雇用の延長。
60歳で定年を迎えたあと「65歳まで」だった再雇用制度を、ことし8月から「70歳まで」に広げます。


この雇用延長に、街の人は…
(60代男性 元通信業)
「高齢者がこれから多いからいいことだと思う」
(50代女性 紳士服店)
「70歳まで社会が許してくれるなら仕事があるとうれしい」
70歳まで働くことに抵抗は少ないようです。
ベテランが持つ高い技術や専門知識を活かすことが狙いのトヨタ。
人手不足が深刻化し、シニアの就労拡大が注目される中、愛知県豊橋市の工作機械メーカーでは…
(西島株式会社 西島豊社長)
「創業以来、一度も定年制を設けていません」


ことし創業100年を迎えた「西島」は、創業当初から社員に定年がありません。
午前8時から午後5時まで、週5日働くことが出来れば仕事を続けられるのです。
(西島社長)
「ベテランたちの知識や経験を生かすという意味で、定年を設けない方が会社にとっては競争力が上がるという判断でやっている」
30代の若い社員にアドバイスをしながら、真剣に機械に向き合うのは、最高齢社員の関賢一さん、御年80歳です。

(関賢一さん 80歳)
「会社に入ってから定年のことを全然気にかけたこともないし、仕事が面白いから続けているだけ。お客さんに喜んでもらえるのがいい」
関さんは中学卒業後に入社し、なんと勤続65年!
西島の社員136人のうち、60代と70代はそれぞれ6人、80代が1人で、関さんはいまでも働くことにやりがいを感じています。
(関さん)
「できたら死ぬまでやりたいんですけど、体が動くうちはやりたいです」

最高齢と新入社員との年齢差は、実に62歳!
シニア社員と一緒に働く若手社員は、どう感じているのでしょうか?
(鶴田真之介さん 30歳)
「ベテランの方はすごい技術を持っていらっしゃるので、僕らにはない知識であったり。本当に力強くパワフルで、普段から仕事されているので尊敬しますね」
この会社では、60歳を超えても役割に応じた給与が支払われるため、社員のモチベーション維持にもつながっているといいます。


(西島社長)
「人が一番の財産だと思う。我が社も大きな会社でもないし、資産がいっぱいあるわけでもない。あるものは100年培ってきた人脈と人。人が最大限に力を発揮できる環境や付加価値を生めるような組織作り、会社づくりをすることが一番大事」
これから迎える「人生100年時代」。
若手とシニアが並んで仕事をする光景が「当たり前」になるかもしれません。