父の“拒絶”
しかし、待っていたのは、想像以上に高い「現実の壁」でした。
まず立ちはだかったのは、父本人の“強い拒絶”です。
「他人を家に入れたくない」「自分はまだ大丈夫だ」…。
経営者として一時代を築き、自立心の強かった父にとって、介護を受け入れることは自分の人生の敗北を認めるようなものだったのかもしれません。
親戚のケアマネジャーが、家族の心情を汲んで懸命に調整してくれたおかげで、
訪問看護やリハビリマッサージを自宅で受けられるようになりました。
しかし、父は最後まで、そのプロの手に身を委ねることを拒みました。
リハビリの日が来ても、「今日は気分が悪い」「足が痛むから無理だ」。
そう言ってキャンセルを繰り返す父。
母がいくら説得しても、頑なな態度は変わりませんでした。サービスは「そこ」にあるのに、本人の心がそれを撥ね退けてしまう。
差し伸べられた手をつかもうとしない父の姿に、私は言いようのない無力感に襲われました。










