■スーパーバンタム級4団体王座統一戦 井上尚弥ーM.タパレス(26日、有明アリーナ)

WBC・WBO王者の井上尚弥(30、大橋ジム)のスーパーバンタム級4団体王座統一戦が26日に行われ、WBA・IBF王者のM.タパレス(31、フィリピン)に10ラウンドKO勝ちを収め、4団体時代になってから男子ボクサーでは2人目、史上最速で2階級4団体統一王者となった。

やや緊張した表情で登場。リングの手前で深く頭を下げ、右手を高々とあげてリングインした。10月の会見では「日本人が本当にたどり着けない場所まで行きたい」と語った井上、その一歩となる2階級での4団体統一へ。1ラウンドはガードをしっかり固めたタパレスに対し、井上は右のボディー、右のアッパーと様々なパンチで様子を見た。

2ラウンドに入ると井上がタパレスとの距離をつかみ始め、コンビネーションパンチが徐々に決まりはじめる。タパレスも1ラウンドと変わり右腕を下げ、L字ガードに変えた。井上もガードの上からパンチでもタパレスの体をロープまで下げた。

4ラウンドでは井上のパンチを警戒し、ガードを固めたタパレス。しかし、井上は空いたボディーを狙いスタミナを奪っていった。4ラウンド終了間際には左右の連打で井上がダウンを奪った。5ラウンドに入ると井上が一気に畳みかけ、多彩なコンビネーション、ガードの隙間から左右のアッパーと確実にパンチを当てていった。

6ラウンド、タパレスの足が止まりはじめると、井上の右ストレート、右フックがタパレスの顔面をとらえた。中盤は低いディフェンスのタパレスに井上が苦戦するシーンも。

10ラウンド、タパレスが前に出てくると井上のパンチが徐々にあたり始め、右ストレートがテンプルをとらえ、タパレスが2度目のダウン。タパレスは立てず、井上が10ラウンドKO勝ちを収めた。

これで井上はデビューから26戦26勝(23KO)。圧倒的な強さで2人目となる2階級4団体統一。7月に史上初の2階級4団体統一を果たしたT.クロフォード(36、アメリカ)は8年3か月かかったが井上はわずか5年7か月、史上最速での2階級4団体統一を成し遂げた。

試合後、井上は「正直10ラウンドで崩れ落ちた時は驚いた」と話し、タパレスについて「非常にタフで気持ちの強い選手だった。10ラウンドでTKOで勝てて、今はホッとしてます」と安堵の表情を浮かべた。今後については「適正の階級がスーパーバンタム級なので、来年、再来年とこの階級でもっと見せられるようにしたい」とコメントした。