当時19歳の男が甲府市の夫婦を殺害し住宅を全焼したとされる裁判は、28日に2回目の被告人質問が行われました。
被告は「色々なことから逃げたかった」と、裁判で初めて自分の言葉で動機などを説明しました。

殺人や放火などの罪に問われた甲府市の遠藤裕喜被告。

28日の裁判は、弁護側の要求に応じて2回目の被告人質問が行われました。

被告は裁判長に促されると、足早に証言台の前の椅子に座りました。
弁護士:
「なぜ話をしようと思ったんですか」
被告:
「鑑定医師の証人尋問を聞いて違うと思って、本当のことを伝えたいと思ったからです」
被告は裁判で医師が陳述した幼少期の両親のケンカの内容や当時、離婚・再婚の説明は受けていなかったことを述べました。

さらに動機にかかわる質問には、時折言葉をつまらせながら自らの言葉で説明しました。
弁護士:
「今回の事件どうして起こしたんですか」
被告:
「色々なことに疲れたことに合わさって交際を断られたラインがきて、逃げたくて決心がついて事件を起こしましたね」
弁護士:
「何から逃げたかったんですか」
被告:
(涙ながらに…)「母から身体的な暴言を吐かれて嫌でした。犯行のきっかけは長女からのラインだったので、家族を殺したら長女がどんな表情をするのかみたくて自分を忘れなくしたいという気持ちで実行しようと思ってやった」
一方、今の心境や被害者への謝罪についての検察側の質問に対しては…
検察官:
「今も夫婦の長女は苦しみ続けていますが、反省の気持ちはありますか」
被告:
「正直よくわからないです」

検察官:
「法廷で謝罪しないのは、どうしてですか」
被告:
「そちらの方が自分にとっていいと思ったからです」

被告は「生きて謝罪することは考えていない」「生きているのも嫌だからです」とも話しました。

11月14日の被告人質問では、質問に答えない理由を「社会に戻るつもりがないからです」と言葉短く話した被告。

28日は220を超える質問すべてに自らの言葉で説明しましたが、被害者や遺族に対して最後まで謝罪の言葉を述べることはありませんでした。

次の裁判は12月4日に行われます。