トラック運転手が不足する「2024年問題」が食卓にも…。このままでは食品の物流に支障が出かねないという危機感が広がっています。解決策のカギは「ライバル同士の協力」です。
「1日の中で必ず3食の1食はどこかで出てくる」
「絶対にないと困る」
パスタ麺やしょうゆ、スープの素など常温保管が可能な加工食品。食卓に欠かせない加工食品に2024年問題が迫っています。
福岡市に新たに誕生した倉庫では、異例の取り組みが。
F-LINE福岡第一物流センター 荻野 勝マネージャー
「今、味の素さんのほんだしをリフトで移動させてますけども、こちらが日清製粉ウェルナさんの商品になります」
「日清ウェルナ」と「味の素」という、火花を散らすライバル会社の商品が同じ倉庫に。ほかにもハウス食品の調味料やミツカンの「味ぽん」も。
こちらは、ライバル食品メーカー6社が共同で在庫を保管する倉庫なのです。
味の素 物流企画部 川田圭介 シニアマネージャー
「(Q.ライバルとの協力に抵抗は?)最初はやはり、あったかなかったかというとあった。ただ、やはりそれ以上に悩みも同じものを抱えていたので、“競争は商品でやりましょう。物流は共同でやりましょう”」
ライバルが手を組むのは、加工食品ならではの事情がありました。
味の素 物流企画部 川田圭介 シニアマネージャー
「加工食品業界としてはもう本当、物流の取り組みは待ったなし。この業界って(ドライバーに)嫌われている業界と言われていて、深刻に考えている」
最大の理由は、納品スペースが空くまで待たされる「荷待ち」の長さです。
こちらは、2020年に味の素が調査した物流会社の勤務データ。午前10時に到着したトラックが荷物を下ろせたのは午後5時。7時間も待たされたことになります。
味の素 物流企画部 川田圭介 シニアマネージャー
「食品ならではの日付のチェックとか検品作業というものが荷届け先である。(それで)長時間待機するということが起きている。これは他の業界にはなかなかない独特の課題」
▼賞味期限があることや、▼荷物の重ね方が異なるなどの理由から、加工食品は「荷待ち」の発生件数が月に900件超と、物流業界トップなのです。
倉庫の共同利用で共同配送も可能になり、必要なトラックを減らすことにつながります。先に始めた北海道の拠点では、トラック台数は2割減り、他の対策もあわせ、車両の滞在時間は半分に減りました。
ライバル同士の協力は他にも…。
きょう、JNNのカメラが特別な許可を得て、ある会議に入りました。参加していたのは大手スーパー「ヤオコー」、「マルエツ」、「サミット」、「ライフ」の担当者。非効率な物流を改革するため、立ち上げた研究会です。
きょう、ここに新たなメンバーが。
西友の物流担当者
「西友の物流部でございます。よろしくお願いします」
きょうから「西友」と「カスミ」も加わりました。
3月の発足会見では…。
ヤオコー 川野澄人社長
「製配販で協力しながらサプライチェーン全体の無駄を減らして、三方良しの成果に繋げられれば」
真っ先に決めたのは「特売」ルールの変更です。
ライフコーポレーション食品担当 佐々木理敬さん
「特売で発注した分が、こちらのように大々的に展開されている」
これまで特売日の商品は直前まで追加発注が多く、物流への大きな負担になっていました。これを6日前までには量を確定させて発注するルールを4社で取り決めたのです。
ライフコーポレーション首都圏物流部 渋谷 剛 部長
「1社だけだとなかなか動かせないものが、4社力を合わせることによって変えられるのではないか」
食品を食卓までどう届けるか。業界を超えた改革が急ピッチで進んでいます。
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