単身高齢者の急増に伴い「老後ひとり難民」が問題視されている。身寄りや親しい人がおらず、入院・施設入居時の身元保証人が立てられない、あるいは経済的・社会的な孤立により介護や死後の手続きが行き詰まる人々を指す言葉だ。

厚生労働省の調査によると全国の一人暮らし高齢者は約900万人。2030年代後半には1000万人規模に達するという予測もされる中、実は、介護施設の9割以上、病院の6割以上が入院時に保証人を要求する。つまり、「老後ひとり難民」になってしまうと、安心した生活が過ごせなくなってしまうのだ。

そこで、近年「身元保証」という事業が増加しているが、そのサービス内容が外からは見えにくいという側面もあり、利用者にとってはどこまで信用できるのか安心しきれない面もある。こうした課題に立ち上がったのが、株式会社あかり保証の代表取締役であり、現役弁護士の清水勇希さんだ。

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きっかけは70代男性との出会い――。「弁護士がやる意味」とは

いまから約3年前、清水さんは、ある70代男性から「保証人がいないので施設に入れないかもしれない」という相談を受けた。

株式会社あかり保証 代表取締役 清水勇希さん
「その男性は、ご自身でも身元保証サービスを行う会社を探されていたのですが、“信頼性”の面で決め手に欠けていたそうなんです。そんな話の中で、『弁護士さんみたいな人が身元保証をしてくれたら安心できるのに』とおっしゃっていただいて」

弁護士として“老後ひとり難民”の課題も、既存の“身元保証サービス”の問題点も感じていた清水さんは、多くの人の「不安」を「安心」に変えるために事業化することを決意。弁護士としての法的な裏付けの中でサービスを作り上げ、手続きが完了したときに男性が漏らした「ありがとう、これからよろしくな」というたった一言に、社会的意義と重い責任を感じたという。

清水勇希さん
「業界的には、実際に身元保証を取り巻くトラブルなどもあります。そんな中で、弁護士だから変えられるものがあるのではないかと思ったんですね」

現在、同社のサービスを受けるのは一人暮らしの高齢者に限ったものではない。事業を始めて、様々なニーズが潜在していたことに気づかされた。

例えば、子のいない夫婦や障害を持つお子さんの親、また、高齢の親を持つ30代~40代からの依頼も増えている。「80代の母親と2人暮らしで、母に何かあった時は自分が対応できるが、自分に何かあった時にはもう母親が対応できないのでお願いしたい」といったケースもある。

清水勇希さん
「高齢になってから受けるサービス、というイメージがありますが、気を付けておかないといけないのは“認知症”のリスクです。発症してしまうと契約できませんので、元気なうちに将来の安心を確保する必要があるんです。よく『いつから始めたらいいんですか?』と聞かれますが、“今です”とお答えするようにしています」

現在、月間で200件程度の相談が寄せられているというこの現実は、それだけ多くの人々が「誰に頼ればいいのか」という答えを求めている証左でもある。

法律・医療・介護の専門家が24時間365日対応

多くの身元保証サービスは、依頼を受けると事業者が弁護士などの専門家に外注して手続きを進めることが多い。こうした構造が業界全体の“ブラックボックス化(実態が見えにくい状態)”に繋がっていると清水さんは指摘する。

一方で、あかり保証の特徴は、外注しない。弁護士・司法書士といった法律の専門家、看護師・ケアマネジャー(介護支援専門員)といった医療・介護の専門家と提携して24時間365日対応するサービス提供を行っている。拠点は東京、大阪、名古屋、福岡、横浜、京都、神戸の主要都市に展開しており、全国的なニーズにも対応可能だ。

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清水勇希さん
「“見える化”するために、HP(ホームページ)にも私たちの顔写真、経歴をすべて載せています。『どんな人が自分を支えてくれるのか?』という不安を払拭にも繋がっていると思います」

そんな清水氏は、業界全体のイメージ改革にも取り組んでいる。

清水勇希さん
「身元保証サービスを受けていることに、少しマイナスのイメージがあると思うんですよね」

そう語る背景には、ある苦い経験がある。あかり保証ではノベルティとしてトートバッグを制作しているのだが、ある契約者がそのバッグを、ロゴを隠すように裏返しにして持っていたという。

清水勇希さん
「バッグは使いたいけど、身元保証サービスを利用しているとは周囲に思われたくない。そのことにショックを受けました。でも、身元保証サービスを受けるというのは、本来なら周囲に迷惑かけないよう、ご自身で責任を持って準備されている行動のはずで、決して恥ずかしいことではありません。だからこそ、サービスを受けている人が、肩身の狭い思いをせず、それが“当たり前”に思える社会を作りたいんです」

そのため、契約者だけのコミュニティを作り、例えばスマホ教室などのセミナーを行うなど、サービスを受ける側の人生を豊かにしていくような取り組みも行っている。

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清水勇希さん
「当社は、不安を安心に変えて、お客様に幸せになっていただくことをミッションに掲げています。単純に身元保証をして満足するだけでなく、お客様の人生の終始に寄り添うこともサービスの一部。そこをしっかりやっていこう、と意識しています」

また、終身サポート・身元保証業界初の業界団体「全終協(一般社団法人全国高齢者等終身サポート事業者協会)」の設立にも尽力した。

この団体は、事業者や消費者トラブルの増加を受けて令和6年6月に政府が策定した「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」よりも厳格な入会基準を設け、利用者自身が優良な事業者を選択できるような仕組み作りを行っている。現在、全国37社が加盟。業界の健全化に取り組んでいる。

さらに、大阪府孤独・孤立対策公民連携プラットフォームに参画するなど、行政との連携も加速している。本来、行政は保証人にはなれず、その代わりを同社が担うことで、制度の隙間で立ち往生する人々を救う役割を担っているのだ。

清水勇希さん
「弁護士という仕事をしていても、これほどまでに感謝されることはなかなかありません。保証人の問題や死後へのモヤモヤとした不安を取り除いてあげることで、お客様は本当に明るい顔になられます。今後、社会的にニーズが高まってくるのは明白ですから、課題に応えるために、しっかり寄り添っていきたいと思います」

孤独という闇に不安を感じるすべての人々にとって、確かな一筋の「あかり」となるように――。業界全体の課題も解決しようと取り組む同社の挑戦は、まだ始まったばかりだ。