秋田銀行とNTT東日本グループは、2025年10月から地域企業の脱炭素経営を支援する連携を開始し、持続可能な地域社会のさらなる発展に向けた取り組みを展開している。NTT東日本グループが提供している省エネソリューション「FORCE」を中心とした企業のコスト削減に資する提案や、NTTデータが提供している企業のCO2排出量を可視化するシステム「C-Turtle®」(シータートル)を軸にした脱炭素経営の支援を進める両社に、連携に至った背景や取り組みの現状、そして今後の展望について聞いた。

連携に至った背景と現在の取り組み状況

連携に至るまでにさまざまな観点での協議を重ねてきた両社であるが、一つの重要な観点として「企業の経営改善に直結するメリットの訴求こそが脱炭素化を促す鍵」という共通認識が挙げられる。

NTT DXパートナーソリューションデザイン事業部の三輪さんは、「地域企業にとっては、”持続可能な循環型社会の実現”といった壮大な話より、企業経営に重くのしかかっている電気代などのエネルギーコストを削減することが目下の関心ごとです」と語る。

秋田銀行経営企画部の柳谷さんは、「秋田県では2050年までのカーボンニュートラル実現を目標に掲げています。秋田の自然環境を維持し、将来へ残していくために、地域金融機関としても積極的にお客さまの脱炭素経営をご支援していく方針です。脱炭素化を進めるにあたっては、まずは現状のCO2排出量を算定し、削減目標を決めたうえで省エネに取り組むのが基本的な流れとされていますが、実際には、省エネによるコスト削減には関心が高くとも、可視化の必要性を強く感じるお客さまはまだ少ない状況です。C-Turtle®による“可視化”とFORCEによる“削減”をセットでご案内していくことで、計画的なCO2削減に取り組む企業を増やしていくことができるのではと考えました」。

このような考えと取り組みが合致して連携に至った両社に、現在の取り組み状況についても聞いてみた。

秋田銀行営業支援部の今さんは、「2025年10月の連携開始以降、秋田市内で開催した脱炭素経営実践セミナーを通じて、可視化や省エネにご関心をお示しいただいた地域企業に対するご支援を展開しました。また、NTTグループにも同行いただき、直接お客さまとの対話を通じて課題の擦り合わせを行っています。対話を通じて、当行が想定していた以上に、お客さまが省エネに対して強い関心があると感じています」と、地域企業と直接対話して得られた実感を語る。

三輪さんは重ねて、「昨今のエネルギー情勢を踏まえて、省エネの取り組みに全く着手していないような企業はいません。やれることはやっている、それでもエネルギーコストが重くのしかかっているというのが現状です。そんな現状だからこそ、“まだ打つ手が残っている可能性がある”とご紹介させていただいているFORCE(電力品質改善装置)などの省エネソリューションが非常にご好評をいただいています」と地域企業の高い関心を紹介した。

NTT東日本グループが本連携を通じて紹介している省エネソリューションの特徴は、電気設備の更改といった大規模な投資は必要とせず、既存設備に対して部分的な追加設置・導入をすることでコストパフォーマンスに優れた省エネ対応を講じることができる点にある。「秋田銀行として、お客さまの中長期的な投資計画に基づく機器更改などのご提案はこれまでも実施してきましたが、既存設備に対するコスト削減となる本アプローチは、新たなお客さま接点の創出と価値提供になると考えています」と今さんも期待している。

「当社の提案は、製品の仕様に依存したプロダクトアウト型ではありません。しっかりとお客さまの現状をヒアリングさせていただくほか、エネルギー使用状況に関するデータなどもご共有いただきながら“お客さまの実態に合わせた伴走型の課題解決提案”となっています。例えば、FORCEのご提案に際しては他社の導入事例のご紹介では終わらせずに、お客さまの施設のエネルギー使用状況に基づいた個別の導入シミュレーションを作成してご案内しています。これらの提案スタイルが、秋田銀行さまが地域企業との間で築かれてきた信頼関係にも非常にマッチしていて、大きな反響をいただいていると感じます。」と三輪さんも語る。

この導入シミュレーションは、「電気利用明細(直近12ヶ月分)・電気設備点検報告書(月次版の直近12ヶ月分)・単線結線図」の3点をNTT DXパートナーに共有するだけで作成が可能となる。シミュレーション内には、電気利用料金や温室効果ガスの削減期待値が試算されるほか、FORCE導入に伴うROI(投資回収年数)や設備耐用年数にあたる15年間での総コスト削減額も推計されるため、エネルギーコストを削減するための投資判断を検討するのに役立っているという。また、お客さまの要望があった際にはFORCEの提案だけではなく、他の省エネソリューションや電力プランによるコストシミュレーションも併せて実施をするほか、脱炭素経営を進めるにあたっての各種相談(計画策定、社員教育など)も受けることができるという。

産官金連携による地域全体の脱炭素推進の実現に向けて

「当行では、中期経営計画の基本方針の1つとして『地域資源の錬磨と高付加価値化』を掲げており、秋田県固有の自然環境など、地域の風土を維持しつつ、自然を活用しながら価値を生み出していくことを目指しています。そのためには、パートナー企業との連携だけでなく、自治体との連携も必須であり、地域が一体となって脱炭素化に取り組めるよう、協力の輪を広げていきたいと考えています」と柳谷さんは今後の展望を見据える。この秋田銀行の展望に対してNTT東日本グループとしても共感し、さらなる相乗効果を期待できると三輪さんも補足する。

「NTT東日本グループは“SOCIAL INNOVATIONパートナー”として地域循環型社会の共創に向けた取り組みを強化しており、従来の情報・通信領域以外にも地域のニーズや課題を起点としたさまざまな事業へ進出しています。NTT東日本グループはこれまでも地域の自治体と多面的な連携を図ってきており、脱炭素先行地域事業への共同提案などにも積極的に取り組んできました。そうした中で今回の秋田銀行様との連携は、従来の“自治体から企業への脱炭素推進支援”とは異なり、取引先やサプライチェーン間における“企業から企業への脱炭素推進支援”となっている点が重要であると考えています。これは、地域における脱炭素推進におけるニーズや課題がこれまでよりも一段階進展していることを示していると考えられます。今後は“行政主導の取り組み”と“企業の主体的な取り組み”の両方をつなぐことで、地域全体のニーズや課題に応じた力強い取り組みへと昇華させていきたいです」

秋田県で始まったNTT東日本グループと金融機関の連携は現在、「企業の経営改善に直結するメリットの訴求こそが脱炭素化を促す鍵」という認識が共鳴し、NTTDXパートナーとNTT東日本宮城事業部を中心に、東北の他県や他地域にも広がりをみせている。今後もNTT東日本グループは地域と企業にしっかりと向き合いながら、SOCIAL INNOVATIONパートナーとして地域循環型社会の共創に向けて取り組みを進めていく。