8.89㎢──いわば3㎞四方に満たないまちがある。市としては、大阪府の中で最も面積が小さく、日本全国でも5番目に小さい藤井寺市だ。ここは1600年の時を超えた世界遺産「百舌鳥・古市古墳群」が人々の暮らしに溶け込んでいる。そして、まちのランドマークとなっているのが「アイセルシュラホール」だ。2025年4月、従来の生涯学習センターとしての役割だけでなく、観光拠点として地域の活性化と歴史文化の普及啓発の一翼を担う複合施設として大きくリニューアルされた。

そんな藤井寺市の岡田一樹市長に、藤井寺市の魅力についてうかがった。ホールのリニューアルからおよそ1年が経って見えてきた藤井寺市の新たなまちづくりとは?

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藤井寺市の観光拠点へ──「アイセルシュラホール」がリニューアル


近鉄南大阪線・藤井寺駅から徒歩約10分。住宅街の中に突如として現れる、巨大な船を思わせる独特なフォルムのアイセルシュラホールは、1994年に生涯学習センターとして開館してから約30年が過ぎ、改修の時期が迫っていた。

藤井寺市 岡田一樹市長
「当時、大阪・関西万博が2025年に開催されるということで、大阪で唯一の世界遺産である『百舌鳥・古市古墳群』のPR拠点、そして観光のランドマークを作りたいという強い思いがあったんです」

特徴的な外観は、市内から出土した「船形埴輪」と、古墳を造るときに大量の資材を運ぶのに使われた古代のソリ「修羅(シュラ)」を組み合わせたもので開館当時から変わっていない。

岡田一樹市長
「この独特なフォルムは藤井寺市の特徴をご説明するきっかけにもなっていたんです。『変わった形の建物ですね』とよく言われるので、『実は藤井寺からこういうものが出土していたんですよ』とお話しできる。そんな場所を観光のランドマークとしても活用したいという思いがありました」

今回のリニューアルでは、市民・観光客からの「藤井寺のお土産や特産物が買える場所がない」という声に応え、お土産コーナー「ウェルカムラウンジ」を新設。街の魅力を発信する「玄関口」へと進化を遂げた。

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新たな客層の開拓!アイセルシュラホールのリニューアルポイント


リニューアルしたアイセルシュラホールの中でも一押しは、2階展示コーナーにある世界的なフィギュアメーカー「海洋堂(大阪府門真市)」の関連会社である「奇想天外・海洋堂高知」が制作した古墳のジオラマだ。

岡田一樹市長
「以前はどちらかというと、考古学や歴史に造詣の深い方々向けの展示が中心でした。しかし今回は、より幅広い方々に興味を持っていただくため、ジオラマを作って頂きました。世界的な技術で再現された古墳の姿は、歴史好き以外の方にも注目を浴びています」

おすすめは、しゃがんで、目線をぐっと下げて見ることだ。フィギュアの精巧さと没入感が楽しめる。


開館当時からの展示で、発掘現場から周囲の土ごと切り取って移設した展示物もある。藤井寺市で出土される埴輪は「形象埴輪」が特徴だ。埴輪といえば、一般的には人形がイメージされることが多いが、藤井寺市の形象埴輪は水鳥や施設のモデルとなった船などがモチーフになったものがよく知られている。特に水鳥は1mを超え、水かきまでリアルに再現されていて、歴史に詳しくなくても驚く。ぜひ「本物」をご覧いただきたい。


全国から近鉄バファローズファンが集結!

また、市内外から熱い注目を集めているのが「近鉄バファローズコーナー」だ。かつてこの地にあった藤井寺球場を本拠地としていた人気球団への思いは市長自身も格別なものがある。

岡田一樹市長
「球場は2006年に解体されてしまいましたが、私たちの世代にとっては、生まれた時から家の近所に球場があり、身近な存在でした。当時は、7回が終わったら無料で球場に入れたんです。だから誰でも気軽にスタンドに入って、プロの熱気を肌で感じることができた。小学生の頃は試合を見ながら、スタンドを駆け回って遊んだりもした思い出の場所です」

その思い出は、観客席だけに留まらない。大学生時代には、藤井寺球場で売り子のアルバイトをしていたそうだ。


岡田一樹市長
「近鉄には野茂英雄投手が在籍されていて、清原和博選手との対決が盛り上がっている、まさに黄金時代でした。選手の方も藤井寺に住んでおられて、皆さんまちを普通に歩いておられたんですよね。そういった人たちがまた帰ってきて頂けるような場所を作りたいと思ってこのコーナーを企画したんです」

当初、若い職員からは「今さらバファローズで人が来るんですか?」という声もあり「オワコンですやん」みたいな雰囲気もあったそうだが、結果は予想を遥かに上回るものだった。

岡田一樹市長
「去年、ファンにとっては特別な10月19日に合わせてイベントを開催したんですが、全国から3000人ものファンが集まりました。あまりの熱気に、冷房が効かなくなるほどでした。来場者の方々が『自分たちは絶滅危惧種だと思っていたが居場所ができた。聖地ができた』と喜んでくださったのは私も嬉しかったですし、歴史ファン以外にも来て頂ける場所づくりができました」


他にも、子連れにも嬉しいレスト・幼児スペースや地元の歴史図書が並ぶ図書エリアも新設。屋外ではARスポットや古墳広場などもあり、市内住民・観光客を問わず過ごしやすいスポットになっている。


藤井寺市の意外なお土産「美陵鰻」


観光に欠かせない「食」の分野で、藤井寺で今最も注目を集めているのが、「美陵鰻」という大阪府認証の大阪産(もん)に選ばれている陸上養殖うなぎだ。抗生剤や成長促進剤を使わず育てているのがポイントなのだが、そのおいしさに、意外にも「藤井寺の水」が関連しているという。

岡田一樹市長
「藤井寺は、特別な山奥の湧き水があるわけではないのですが、藤井寺の水道水が、うなぎの生育に非常に適していたそうなんです。養殖特有の脂っこさがなく、天然に近い身の締まった味わいで大変おいしい鰻です」

この鰻は、アイセルシュラホールで購入できる他、地元の飲食店との連携により、新たなグルメの形を提案している。

岡田一樹市長
「市内のイタリアンやフレンチのシェフたちが『イタリアでもうなぎは使われますよ』と、メニューに取り入れてくれるなど、PRに協力してくれています。ぜひ多くの方に味わっていただきたいですね」

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「改札を抜けると世界遺産」──藤井寺市の魅力づくり


岡田一樹市長
「藤井寺は坂道がほとんどない平坦な街ですので、自転車を使えば、1日で市内の主要な古墳や寺社をすべて巡ることができます。駅前にはシェアサイクルもありますので、アイセルシュラホールを古墳巡りの起点として利用して頂いたり、帰りにお土産を買いに立ち寄って頂いたりと、活用頂けたら嬉しいです」

藤井寺は面積が小さいからこそ、自転車での移動が非常に効率的だと語る岡田市長。まちづくりに関しては、市域の約7割が文化財包蔵地であるため、エリアごとのコンセプトを大切にしている。藤井寺駅北側は利便性の高い商業エリアとして、南側や東の道明寺エリアは歴史的な景観を守るエリアとして、近鉄南大阪線の土師ノ里駅前は「改札を抜けると世界遺産」をキャッチフレーズに整備。コンパクトシティでありながら、各エリアの特色が生かされている。

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岡田一樹市長
「大阪市の天王寺エリアから電車でわずか15分。非常に近くて便利な場所に、古代の歴史が詰まっています。実際に古墳に登ったり寝転んだりして、肌で歴史を感じてください。歴史を満喫した後は、リーズナブルでおいしい個人商店がたくさんありますので、食事や飲み歩きも楽しんでほしい」

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藤井寺市では、MBS毎日放送の番組『私立恵比寿収穫』と連動して、私立恵比寿中学のメンバーが藤井寺市を紹介した内容をクイズを楽しみながら藤井寺市を回遊できるイベントを実施中。ぜひこの機会に古代の船を模したアイセルシュラホールを入り口に、藤井寺の街へ漕ぎ出しては如何だろうか?