シリーズでお伝えしているトランプ政権発足から1年「割れるアメリカ 揺れる世界」。アメリカの国際支援が次々と絶たれるなか、内戦が続くミャンマーの避難民は深刻な影響を受けていて、アメリカが進めてきた民主化外交にも異変が起きています。
ミャンマーの国境に近い、タイ西部のターク県。軍事政権下のミャンマーから逃れてきた子どもたちの自立支援として、NGOがタイの大学などへの進学をサポートしています。
活動を支える資金の大部分は、アメリカのUSAID=国際開発局から援助される予定でしたが、トランプ政権発足後、突然、支援を打ち切るとのメールが届きました。
NGO「SAW」 アイ・アイ・マーさん
「多くの学生が進学のための奨学金を受けられず、学業の継続が極めて困難な状況に陥っています」
1961年の設立以来、世界のおよそ130か国で活動してきたUSAID。
トランプ大統領(去年2月)
「USAIDは非常に腐敗している。はっきり言って無能だ、本当に腐敗している」
アメリカ・ファーストを掲げるトランプ政権は、USAIDの大規模な人員削減などを進め、多くの事業を停止。さらにトランプ氏は今月、31の国連機関を含む66の国際機関からの脱退を指示しました。
ミャンマー避難民を支援するNGOはアメリカからの援助がなくなり、“食料危機”が広がっていると話します。
NGO「SAW」 スラポン理事長
「(ミャンマーの)暴力と戦闘は激化し避難民の数は増加しているにもかかわらず、すべての人たちに食べ物がなく、食料問題は最も深刻な状態です。トランプ氏の政策は世界中で反発に直面しています。他者を排除すれば、その影響はアメリカ自身にも及ぶことは明らかです」
人道支援だけでなく、ミャンマーの民主化を支えてきたのもアメリカです。これまで、民主党・共和党の双方の政治家が、ミャンマー民主化の象徴であるアウン・サン・スー・チー氏との交流を重ねてきました。
しかし、トランプ政権は、2021年にクーデターを起こしたミャンマー軍事政権に関連する一部制裁を解除したほか、アメリカに逃れたミャンマー避難民の保護資格を今月で失効させる措置をとりました。
こうしたアメリカの動きについて、ミャンマー軍の報道官は…
ミャンマー軍事政権 ゾー・ミン・トゥン報道官
「我々の立場からすれば、トランプ大統領の政策は正しく前向きなものだと認識している」
専門家は、「アメリカの関与低下で、中国やロシアによる影響力拡大が懸念される」としたうえで…
山形大学 東南アジア史 今村真央 教授
「旧来のアメリカの外交政策の基軸となったような価値観。民主化支援を基盤とする対ミャンマー外交は、ここで一旦終わったと考えてもいい」
アメリカの国益にならなければ、“弱者”は切り捨てられるのか。アメリカが掲げてきたはずの民主主義や、国際協調といった価値観は大きく揺らいでいます。
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