156人が死亡した香港のマンション火災から、きょうで1週間です。延焼を免れた建物の住人は一時帰宅が許された一方、自宅を失った人がその胸の内を明かしました。
記者
「住人を乗せたとみられるバスが到着しました。みなさん、かばんを片手に自宅へ向かっていきます」
帰宅が許されたのは、8棟のうち、延焼を免れた1棟の住人のみ。きょうから2日間で1度だけ荷物を持ち出せることになり、朝から自宅へと向かう人の姿がみられました。
両親の自宅へ向かう女性
「まず薬です。薬と厚めの服を取りに行きます。(両親は)長く住んできたので、できれば住み続けたいと言っています」
自宅に戻った男性
「身分証明書や銀行のカード類、パスポートを取ってきました。他に戻る世帯が少なければ(ここには)住まないかもしれません」
156人が死亡した火災の発生から1週間。自宅に帰れる人がいる一方で、多くの人は帰る場所を失いました。
ウィリアム・リーさん(40)。火元となった建物の2階に妻と2人の子どもと暮らしていました。発生から11分後に、外出中の妻から火事の知らせがあり、気がついたといいます。
ウィリアム・リーさん
「警報音は鳴りませんでした。濃い煙は見えないし、異様な臭いもしませんでした。ドアを開けると煙が充満して、私の顔に向かってきたのです」
その後の状況をリーさんは撮影していました。窓の外で燃え上がる炎が確認できます。さらに、動画も…
ウィリアム・リーさん
「全部真っ暗だ。煙が充満している。消防士を待っている。部屋中、煙が充満していて、ドアを開けることができない」
緊迫した妻とのやりとりも残っています。
妻
「出てきたらすぐに教えて!」
ウィリアム・リーさん
「落ち着いて。そんな状態でどうやって僕を助けられるの?」
妻
「家に誰もいないなら冷静になれるけど、家にあなたがいるのにどうやって冷静になれるのよ!」
その後、リーさんは逃げ遅れた別の住人と一緒に部屋の中で避難。火事発生から2時間後に助け出されました。
マンションでは当時、修繕工事が行われていて、窓ガラスには発泡スチロールが取り付けられていました。香港当局は、燃えやすい発泡スチロールが延焼の拡大につながったとみています。
ウィリアム・リーさん
「私の家は工事が終わって、ちょうど数日前に発泡スチロールが外れたばかりでした。そうでもなければ、おそらく私も逃げ切れなかったかと思います」
実は、リーさんはこの2か月前に同じ棟の29階から2階に引っ越してきたばかりでした。29階の住人の多くが行方不明だといいます。
あれから1週間。今の気持ちは。
ウィリアム・リーさん
「すべてを失ったので、正直なところ、どうすれば良いかわかりません。この現実をまだ直視できていません。すべての思い出に対して、無念で悲しくて仕方がありません」
取材した記者が火災現場近くから中継でお伝えします。
取材に応じてくれたリーさんは、今は家族4人で友人宅を転々としています。「前を向かないといけないとわかってはいるけど、虚無感に襲われている」と話していました。
また、1週間ぶりに自宅に戻れた高齢男性は「工事業者の責任を追及していく」と話していました。
香港当局は出火当時、建物に取り付けられていた保護ネットの一部が防火基準を満たしていなかったと発表しています。関係者が基準に満たないものと満たすもの両方を使い、調査をすり抜けていて、これに関連し、過失致死の疑いで15人が逮捕されています。
一方、政府の監督責任を問う声も広がり、当局は警戒を強めています。これまでに、「政府担当者の責任の追及」などを求め、署名活動をしていた男性などが逮捕されています。
また、支援物資を配布する活動を警察が突然中止するということも起きていて、「政府が反体制派が紛れ込み、分断工作を行うことを警戒している」との見方もあります。
当局が反政府デモに発展する可能性を念頭に、反体制的な動きを抑え込む意図があるとみられます。
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