市街地にクマが出没したことを想定し、緊急銃猟を行う訓練が静岡県の警察学校で行われました。県内でも人の生活圏にいつ出没しても不思議ではないクマ。訓練で見えてきた課題とは。

11月27日、静岡県藤枝市の県警察学校で開催されたのはクマの「緊急銃猟」の訓練。

クマが藤枝市の市街地に出没したことを想定し、実際に緊急銃猟が実施されるまでの手順などを確認しました。警察や行政、猟友会が参加した今回の訓練。背景にあるのは各地で相次ぐクマによる被害への警戒です。

全国各地で相次ぐ緊急銃猟。11月24日、山形県飯豊町では柿の木に登っているクマが発見され、町長が緊急銃猟を発令しクマは駆除されました。

緊急銃猟はクマなどが人の生活圏に侵入し、人への危害の恐れが大きい場合、自治体の判断でハンターに銃器による捕獲を委託できる制度です。

実施するには緊急性が認められることや、猟銃以外で捕獲が困難など4つの条件をすべて満たす必要があります。

11月22日には静岡市葵区瀬名でもクマの目撃情報がありました。これまでに県内で緊急銃猟は実施されていませんが、クマの市街地出没はいつ起きてもおかしくない状態で、関係者は不安を口にします。

県自然保護課 齋藤剛主査
「(ハンターは)市街地で周りに建物などいろんな危険がある中で撃つ。そこはまだまだ不安な点」

県内は比較的クマの出没が少なく、ハンターや自治体職員も実際にクマと向き合った経験がほぼないため、本番でも訓練通りにいくかは未知数です。

県警生活保安課 山内兼光管理官
「実際にクマと対峙した恐怖は計り知れない。実際に活動するとき、尻込みしてしまうとか、襲われる事案も発生するかもしれないが、事前の準備と知識を持つことで回避できるのではないか」

これまでになく危機感が高まっているクマへの対策。警察や行政は今後も準備を進めていく方針です。