いま、住まいをめぐる1本の動画が静かな感動の波を生んでいる。制作したのは、「ヘーベルハウス」を手掛ける旭化成ホームズ。スペシャルムービー「LONGLIFE STORY」の第3弾としてリリースした『HANABI』篇だ。主演は俳優の三浦貴大さん。楽曲『yorube』(ヨルベ)はシンガーソングライターの崎山蒼志さんがこの物語のために書き下ろしたもので、透明感のある歌声が映像と絡み合いながらストーリーが展開する。公開されたのは今年の7月24日。すでに再生数は160万回を超えている。

旭化成ホームズの『HANABI』の動画はこちら

祖父母から孫に託された、1軒の家

物語は、三浦さん扮する主人公が1軒の家に足を踏み入れるシーンから始まる。その家は、祖父母が45年前に建てたもの。誰も住まなくなり、10年が経とうとしていた。

リビングに、セピア色の家族写真が残されていた。穏やかに笑う祖父母と子どもだった自分、そして従兄弟たち。夏になるとこの家に集まり、花火を見るのが楽しみだった。船の設計をしていた祖父は、“甲板”と呼ぶ広いベランダを2階に設けていた。そのベランダで、夜風に吹かれながら見た花火の記憶は、色褪せることなく心に残っている。

久しぶりにこの家を訪ねたのは、リフォームして住み継ぐためだった。新しい家族ができ、いまは写真の中の自分のような子どもたちもいる。

リフォームを終えた夏、友人を家に招いた。そう、花火だ。日が暮れ、皆でベランダに集まると、あの頃と同じ大輪の花が次々に夜空を彩り始めた──。その様子を眺めながら、祖父母から託されたのは、家という形あるものだけではないことに気づく。家族のつながりや大切な記憶も、時を越えて受け継がれていく。

実話で綴られた、家族と家の物語。『HANABI』の動画はこちら

ヘーベルハウスに住む人の、心温まる実話を再現

YouTubeのコメント欄には、「これは、じわじわくるな。すでに感動の短編邦画」「めちゃくちゃ好きです」などの声が寄せられている。この物語はどのようにして生まれたのだろうか。旭化成ホームズ株式会社 LONGLIFE戦略推進本部 企画室の金田裕樹さんに話を聞いた。


旭化成ホームズ株式会社 LONGLIFE戦略推進本部 企画室 金田裕樹さん
「この動画は、ある家族の実話にもとづいて作られています。ヘーベルハウスのお客様で、お孫さんが家を継承した事例があることを知りました。お子様が受け継いだり、売却して新たな方がお住まいになるケースはたくさんありますが、世代をまたぐ継承でしたので、その方に話を伺うと、子どものときに祖父母と花火を見たこと、そして当時見た思い出の花火を、時を越えて今は自分の家族と見ることができる喜びを語ってくれたことがとても印象に残りました。ほかにも柱を大切にする逸話などがあり、『家』だけでなく、『家族の想い』や『思い出』を大切に受け継がれている素敵な物語だと思ったので、映像化させていただくことにしました」

1972年に創業した旭化成ホームズは、鉄骨とALCコンクリートを組み合わせたヘーベルハウスを開発し、耐震・耐火・耐久性に優れた住宅の供給を実現。日本では住宅が当たり前のようにスクラップ・アンド・ビルドされていくなか、1998年には“半世紀をこえて維持する住宅づくり”を目指す「ロングライフ住宅」宣言を行う。建物を引き渡してから始まる無料点検システムの対象期間は現在60年。長く住むためのサポートを大切にしているからこそ、『HANABI』篇で描かれたように世代を超えて住み継ぐことが可能になる。

もっと知りたい、住み継がれる住まい「ヘーベルハウス」

住まう人に寄り添う、LONGLIFEという思想

今回の『HANABI』篇が第3弾となるHEBEL HAUSスペシャルムービー「LONGLIFE STORY」は、旭化成ホームズの創業50周年を機に企画された。共通するのは役者のセリフがほぼなく、映像と楽曲で物語を見せること。「LONGLIFE STORY」を制作する意図について、金田さんはこう話す。

金田裕樹さん
「ヘーベルハウスは“ALL for LONGLIFE”というブランドメッセージを掲げています。LONGLIFEという言葉には、長く快適に暮らせる住宅の提供を前提に、住まう人の「いのち、くらし、人生」そのものに寄り添っていきたいという想いが込められています。これまで、ヘーベルハウスの強みである住宅性能に関するプロモーションは行ってきました。一方、暮らすことによって生まれる価値、たとえば家族の絆や幸せも長く紡いでいけることを発信したいとも考えていました。そこで、ヘーベルハウスに住むお客様の実例を“LONGLIFE STORY”としてドラマ化することにしたのです。本人ではなく俳優に演じてもらい、セリフの代わりに美しい楽曲に乗せて物語を展開するのは、メッセージを柔らかく伝えるためです。基本的に脚色はせず、実話を忠実に再現するよう心がけています」

ストーリーのモデルとなったご家族

たしかに『HANABI』篇で主人公を演じる三浦貴大さんは、表情や細やかな仕草で雄弁に物語る卓越した演技力が光る。そして映像化するストーリーをモチーフにして崎山蒼志さんがつくり上げた楽曲『yorube』の美しい調べも実に印象的だ。「崎山さんは歌唱力とギターの技術を兼ね備えた素晴らしいアーティスト。今回のストーリーからどんな楽曲が生まれるのか、本当に楽しみでした」と金田さんは依頼した当時を振り返る。

柱の視点で物語る、もう一つのムービー

『HANABI』篇には、別の視点で描いたスピンオフムービーが存在する。旭化成ホームズのグループ会社で、創業45周年を迎えた旭化成リフォームが公開した『HASHIRA』篇だ。この作品は『HANABI』篇と同じ物語を、一本の柱の視点で描いていて、柱のモノローグで展開するところが独創的だ。だが『HANABI』篇をつくり始めた当初は「スピンオフを制作する予定はなかった」と金田さんは言う。

金田裕樹さん
「花火の話を語ってくれたお客様は、祖父母が建てた家を受け継ぐにあたり、間取りをガラリと変えて、まるで新築されたかのようなリフォームをしていただきました。その際、思い出が詰まった「柱」を残し、いまはその柱が身長計として子どもたちの成長を刻んでいるという話をしてくれました。この実話が『HASHIRA』篇の元になっています。住む人は変わっても、家がそこに存在していることは変わっていない。家族の過去といまをつなぐLONGLIFEを実現するため、リフォームは大きな役割を果たします。その価値を伝えるには、「柱」視点の物語も面白いのではないかと考え、スピンオフムービーをつくることにしました」

スピンオフムービー『HASHIRA』の動画はこちら

久しぶりに家を訪れた孫の成長した姿を見て、「おかえり」と呟く柱。『HASHIRA』篇は、こんな言葉で締めくくられる。

変わっていく家族に、
変わらない幸せを、
ずっと ずっと。

柱の視点で展開するこの映像を見ると、『HANABI』篇への理解が深まり、もう一度見返したくなるから不思議だ。

祖父母から孫へと受け継がれた1軒の家。今回は2篇の映像作品で、長く住むからこそ生まれた心温まる物語に光を当てた。見る人の心が動かされるのは、ヘーベルハウスが世の中に発信する「住まいがもつ意味」について、改めて思いを巡らせるからだろう。

「きっと、ほかにもたくさんの物語がヘーベルハウスで育まれています」と金田さん。これからも住まいに込められたストーリーを発信し、LONGLIFEの思想を伝え続けていく。

ヘーベルハウスで描かれたLONGLIFEなストーリー、『HASHIRA』をチェック