100年先を見据えて…老舗酒造店の挑戦

「さくら福姫」を使った日本酒造りも始めました。

府中市にある「野口酒造店」では、長年やめていた酒造りを「さくら福姫」をきっかけに2024年から再開したのです。

野口酒造店七代目 野口英一郎社長
「酒を地元で造るのが使命だと思っていた。それができなかったのは大変悔しい思い」

野口酒造店は創業160年を超える老舗ですが、周辺の都市化に伴って、ほこりなどが酒蔵に入り込み、品質が悪化したことで40年ほど前に酒造りを断念しました。

野口酒造店七代目 野口英一郎社長
「お客様から『お酒が美味しくなくなった』という声も多数いただくようになり、先代の父が地元での酒造りをやむなく断念。自分が生まれ育った所の一部が欠ける思い」

野口さんの思いは「酒造りを復活させたい」。しかし、簡単ではありません。

野口酒造店七代目 野口英一郎社長
「正直、酒造りを私はしたことがない。酒造りを復活しても大丈夫かと非常に不安な気持ちもあった」

そんなタイミングで大川教授から、「さくら福姫」を使った酒造りを提案されたといいます。

野口酒造店七代目 野口英一郎社長
「開発された『さくら福姫』の特性が非常に気象変動に強いコメ。持続可能な酒造りに欠かせないと思った。とにかく一歩踏み出そうと」

経験豊かな酒の造り手を大学側から紹介してもらい、酒造りの復活を決意しました。

酒蔵をフルリノベーションし、外の塵やほこりが入らないよう完全密閉。入口にはエアシャワーも設置しました。

そして、40年ぶりに完成した日本酒が「国府鶴さくら福姫」です。

味は東京都心の居酒屋でも大好評。

利用客
「ラベルを見なければどこの地酒かわからない。良い意味で東京感を感じない。すごく美味しいです」
「飲みやすい。東京でこんなお酒が造られているのはすごく楽しみ」

野口酒造店七代目 野口英一郎社長
「府中市は東京都心からさほど離れていないので、酒の流通に関しても CO2の排出削減につながる。日本酒で欠かせないコメを作るのは農家なので、その農家をこれからもしっかり守っていく。これからの100年200年先を見据えた酒造りをしていきたい」

※野口酒造店では現在、酒の小売販売はしていません。