山口県阿武町が1世帯10万円の新型コロナ関連の給付金について、全世帯分の4630万円を誤って1世帯に振り込んだ問題です。
町は町民の男性を相手取り返還を求める訴えを起こしました。

きょう午前の臨時議会に、訴訟を起こす議案が諮られました。
この問題は、1世帯10万円の新型コロナ関連の臨時特別給付金について、町が振り込みの作業を誤り、対象の全世帯分4630万円が、町内に住む男性の個人口座に振り込まれたものです。

町によると誤りに気づいた町はその日のうちに男性に謝罪し、返還してもらうため職員らが男性とともに銀行に行きました。
しかし男性は手続きを拒否し、連絡が取れない状態が続いたといいます。
それからおよそ2週間後に自宅で接触することができましたが、男性は「もう元には戻せない。逃げることはしない。罪は償う」などと話したということです。

後の調査で男性は、誤った振り込みが通知されたその日からカードを使って別の金融機関への送金を始めていて、2週間ほどで、ほとんどの金が動かされたということです。

花田憲彦 阿武町長
「当初は申し訳なかったけれどもそれとこれは話が違う。それを『町が悪い町が悪い』と言っても、それは自分が使ったことのいいわけにしかならないと思います」

町の人口は、3000人あまり。
高齢化や過疎化が進み、移住を積極的に受け入れています。
町によると男性はおととし(2020年)10月、空き屋への定住を促す制度を利用して転入してきました。

町民「よそから来られた人はいい人が多いんですよ、あいさつもよくされて、だから非常に考えられない」

町民「逃げたほうが勝ちになってしまうとそれはよくない。逃げ得はさせてはいけないと思います」

町民「あとあと自分が一生困るのでは」

男性は町の中心地からおよそ15キロ離れた山あいの集落に住んでいました。
自宅を訪ねましたが応答はありませんでした。
男性は勤め先を退職し、行方が分からなくなっているといいます。
近所の人に聞くと、「顔を見たことがない」「話したことがない」という人が多くいました。

男性に家を貸していたという人は…。
「男前だし、いい子だと思った」

町は男性を相手取り、誤って振り込んだ金と、弁護士費用など5100万円あまりの支払いを求める訴えを起こしました。町の財政規模は、およそ20億円。
誤って振り込んだ金はこの2%にあたり、町にとっては大きな打撃です。

花田憲彦 阿武町長
「今からでもよろしいので返してもらいたい」