山形市の伝統工芸品の魅力を子どもたちに伝えていこうと、きょう、市内の小学校に臼と杵が寄贈されました。
15年以上続くこの取り組みには、職人のある思いが込められています。
山形市に臼と杵を寄贈したのは、市内の切畑(きりはた)地区で、3代に渡って製作と販売を行う職人の鑓水憲一(やりみず・けんいち)さんです。

切畑の臼と杵をつくる 鑓水憲一さん「学校に入ってから(親の)手伝いをしてきたので、習わぬ小僧ですかね」

150年以上の歴史がある切畑地区の臼と杵は、山形市の伝統工芸品に指定されていて、鑓水さんは、2009年から市内の小学校などに一式をプレゼントしています。

切畑の臼と杵をつくる 鑓水憲一さん「大きい杵は、単純に大人に使ってもらって、小さい杵は、子どもたちでもつけるように軽いもので。こういうものが山形市切畑地区にありますよという思い。皆で餅つきをしてほしいという思いですね」

今年は、学校からの希望も受けつけ、山形市立西山形小学校に贈られることになりました。
来月8日に開かれる地域の交流イベントで、子どもたちがこの臼と杵を使って餅つきを行う予定だということです。

西山形振興会 中川国弘 会長「すばらしい色合いとツヤがありまして、みたことのない子どもたちにも杵と臼を使った餅つきを体験してもらったり、おいしい餅を味わってもらえることが楽しみです」

鑓水さんは、今ではなかなか見られなくなった昔ながらの餅つきの風景を、これからも残していきたいといまも臼と杵を作り続けています。

切畑の臼と杵をつくる 鑓水憲一さん「皆で集まって賑やかに話しながら餅をついて餅を食べて力餅ではないが元気に明日からがんばろうと思ってもらえたらいい」

伝統工芸品の寄贈には、地域の人たちを思う職人のあたたかな思いが込められていました。