富山県内の有権者が政治に求めるものを聞くシリーズ「争点の現場から」。今回はウクライナ侵攻や急激に進む円安の影響で飼料価格などが高騰し、苦境に立たされる農業です。拍車がかかる農業の担い手不足に痛い追い討ちをかけています。

牛:「モー」

高岡市佐加野東にある牧場「clover(くろーばー)farm(ふぁーむ)」

代表を務める青沼光さんは、35歳の若き酪農家です。5年前に7頭から始めた牧場も、いまではおよそ80頭にまで増えています。そんな青沼さんを悩ませているのが、経費のおよそ7割を占める「エサ代」の高騰です。

clover farm 代表 青沼 光さん:
「ここに(牛が)自由にエサを食べれるようにしているんですけど、いまそのエサがすごく高くなっていて、先輩の酪農家からみてもここまで厳しい状況はこれまでなかったと言っています。そうとう厳しいときに私も開業した」

ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響で、海外輸入に頼っている牛のエサは輸送コストがかかり価格が上昇。飼料価格の指標となる配合飼料価格の平均価格は、ことしに入り過去最高水準で推移し、ことし4月時点で1トンおよそ8万9000円に。2012年と比べ1.7倍にまで膨れ上がっています。

青沼さんの牧場でも、使用するアメリカ産の飼料の価格が、去年と比べおよそ1.3倍に高騰。1日のエサ代は10万円にのぼります。

資金繰りが悪化した青沼さんは、高騰するエサ代と売り上げのバランスをとるため、搾乳を2年後に控えた育成中の牛、およそ10頭を売却せざるを得なくなりました。

clover farm 代表 青沼 光さん:
「当然、2年間育てていくので思い入れも出てきますし、この子たちを搾るのが楽しみで育てているので、どの子を売るかって選んでいる瞬間は本当に悩ましいし、本当は売りたくないですよね」

農林水産省によりますと、県内の農家の数は、おととしでおよそ1万7000戸。2005年と比べ6割近くが減少する中、今回の価格の高騰を受けて更なる「農家離れ」を危惧する声が高まっています。

そんななか、砺波市の農家らは県や国に財政支援などを求める要望書を市に提出。拍車がかかる農業の担い手不足に早急な支援が必要だと訴えました。

一方、国は岸田総理が価格抑制に向けた新たな支援を表明。肥料や飼料価格の高騰が農産物の価格に影響を与えないよう、生産コストを最大で1割程度引き下げると表明しました。

しかし、青沼さんは、いま必要なのは一時的な財政支援ではなく、直接的な収益へとつながる「売り物価格の値上げ」だと考えています。

clover farm 代表 青沼 光さん:
「費用が高騰しているところで、値上げをやむを得ない、お願いしないといけない状況になっていると思うし、開業した直後でただでさえ厳しいんですけど、余計に支援も届かないし、こういう状況だし、みんな頭を抱えています」

先進国の中で最低水準にある日本の食料自給率。燃料や肥料価格の高騰に加え高齢化、そして担い手不足にあえぐ日本の農業をどうするのか?その選択が問われています。