富山県内の障害のある人たちの個性豊かな表現とその支援のあり方に注目します。広がり始めた企業と障害者アートのつながりを取材しました。

高岡市吉久の「協伸静塗」。工業金属製品の塗装処理を行っている会社です。この会社が、先月、ある3枚の絵を購入しました。

協伸静塗 加藤一博社長:
「これ一体何なのかよくわからんけどね。たぶん、これ足の裏なんだろうけどね。色的にも構図的にもなんかほんわかするような」

飾られたのは、すべて障害のある人が描いた作品です。会社が、長年、障害のある人たちに就労の場を提供してきたことが、障害者アートに関心をもつきっかけになりました。

社員:
「おにぎりみたいな感じになってるのがかわいいなって思います。雰囲気が楽しくなる感じがあるので、絵を見られるのはいいなって感じますね」

この「街」は、射水市の宮本昇汰さんが描きました。3枚の作者は、いずれも障害者アート支援工房「ココペリ」の作家です。

宮本昇汰さん:
「ぶんぶん車、ぶんぶん車」

宮本さんは、以前、車の絵ばかり描いていましたが、最近は紙を何重にも貼り合わせ立体の車を製作中です。

社員:
「信号機がたくさんあったり、いろんな種類の車があって、街の忙しさの雰囲気とかにぎやかな雰囲気が感じられてすごく素敵な絵だなと思いました」

島 雄介さん:
「上空を見て、びゅーんとびゅーんとびゅーんと」

砺波市の島雄介さんは、家族と一緒に出かけて見た記憶の中の風景を再構成し、不思議で温かな景色を色鉛筆で描いています。この会社に展示された島さんの作品は「スカイツリー」です。

社員:
「タイル調の感じなんですかね、そこがいいなと思いました」
社員:「心が晴れるような絵」

協伸静塗 加藤一博社長:
「有名な絵を飾るよりもかえって面白いのかなと。一生懸命描いている姿っていうのがこの絵から垣間見えて、そういったところもいい刺激もらえるんじゃないかなと思っています」

東京などでは、障害のある人のアート作品を積極的に職場に活用する取り組みが進んでいます。

クレジット決済システムを開発している「インテリジェントウェイブ」は、ことし3月からアートレンタルを利用して社内に障害者アートを展示し始めました。

インテリジェントウェイブ総務部 浅田麻衣子さん:
「当社はテレワークの導入も進んでいますので、リアルで対面で社員同士が自然に話をする機会っていうのが減っていると思うんですよね。いろんな作家さんの個性や表現力も楽しめるので、これを会話のきっかけにしてもらえれば」

レンタルサービスを手がける「フクフクプラス」によりますと、およそ50社がレンタルを導入。1万3000点以上から好きな作品を選び、作品は3か月ごとに入れ替えることができます。

売上げの一部はアーティストに還元され、職場のストレスを緩和しながら社会貢献もできるとして注目されています。

ココペリボランティア:「これとこれ買ったんですよ。これも買って」

SDGsに対する意識の高まりもあり、県内の障害者アートにも注目が集まっています。この日、「ココペリ」の倉庫に高岡市の建設会社の社長が作品を見に訪れました。

この会社は新たに仙台にレンタルオフィスをオープンする予定で、そこに飾る絵を探していました。

田組ひと美社長:
「なかなかこの色を選ばないですね」

ココペリ 米田昌功さん:
「そうそう。そんな色使うのって思う時もあるんだけど、あとから見たらなるほどって」

倉庫にはアーティストたちが描きためた形も大きさもバラバラの作品が数え切れないほど保管されています。

ココペリ 米田昌功さん:
「レプリカにして、いろんな人につながっていったほうがより作品も生きてくるじゃないかっていうので、レプリカでやってるところが多い」

田組ひと美社長:
「こういったことにずっと関わらせていただけたらいいなって思いました」
「いろんな利益とか、そういったものを先に考えてしまったりとかもするんですけど、こういった方たちの作品見るとすごくホッとして、ここ来て描いている風景とかも見させてもらったら楽しいかなって。スタッフみんなでそういったコミュニケーションもいいのかなって思いましたね」

「ココペリ」への企業からの要望は多く、スタッフの少なさからすべてに応えきれていない現状もあります。「ココペリ」にとって大切なのは、一人ひとりのアーティストとしての幸せ。それぞれの自由な表現活動を一番に考えながら、地域社会とのつながりを模索していきたいとしています。

ココペリ 米田昌功さん:
「地元の企業とか地元の場所が、彼らの作品や彼ら自身をもっと生かしていただけるっていう流れが少しずつ見えてきているので、その地域の人の刺激になったりとか。たぶん長い目で見たらきっといい形につながっていくんだろうな。」