1月10日は110番の日。警察に対する緊急通報のダイヤルですが、その不適切な使い方は長年問題になっています。
静岡県警によりますと、2022年1月から11月までに寄せられた110番通報は約19万9000件。このうち〝不要不急〟と判断された通報は、実に約5万7000件と、全体の3割近くに上ります。

実際に寄せられた通報の中には、「テレビが映らない」や「間違ってシンクの下に飼い猫が入ってしまった」、「コンビニに携帯電話を忘れてきたので、その店の電話番号を教えてほしい」などといったものがあったといいます。
これらは、警察活動とは何ら関係がなく、対応のしようがないもので、明らかに〝不要不急〟と判断されますが、中には、捉え方が難しい通報もあるといいます。
通報すべきところは警察?それとも?

例えば、「家の前に動物の死骸がある」という通報。動物の死骸の問い合わせは、市役所などの行政が担当するものですが、その事案が明らかに通行の邪魔になっている場合は、警察が対応するケースもあります。
さらに、現在は鳥インフルエンザの脅威があり、身近で鳥の死骸を発見すると不安になることも理解できますが、本来の対応窓口は行政だと覚えておくことが必要です。
【生命や財産に危険が及ぶと判断した場合は速やかに110番を】

意外に多いのが、要望や相談です。
「免許の返納はどうしたらいいのか」「車庫証明について聞きたい」というのは警察の仕事ですが、〝不急〟だということを認識しなければなりません。
不要不急の判断について、静岡県警は「明確な線引きは難しい」としていますが、ひとつの基準として、【生命や財産に危険が及ぶと判断した場合は、速やかに110番を】とした上で、いったん立ち止まって考える余裕があるときは「警察相談専用電話=#9110番」に問い合わせをしてほしいと呼びかけています。

しかし、この相談ダイヤルでも問題が。関係者によりますと「便が出ない」と毎日相談してくる人がいるそうです。この場合、放置すると身体に影響が出そうですが、あくまで相談すべき相手は医療機関。警察に相談することの必要性は感じられません。
110番や相談ダイヤルを適切に使うことができるかどうかは、警察ではなく市民全体に問われている課題であることを、110番の日を機に考える必要がありそうです。