激動の2022年もいよいよ残り12時間を切った。静岡県内では今年も、こども園で起きた園児バス置き去り死事件や保育士による園児虐待事件、富士山での観光バス横転事故など、世間を揺るがす事件や事故、災害が相次いだ。

中でも多くの耳目を集めたのが、9月に発生した台風15号による歴史的豪雨と大規模断水。特に行政トップ同士の“不仲”を全国に露呈するきっかけとなった行政対応の不備は大きな批判を浴びた。

静岡でラジオ番組を持つ人気お笑いコンビ「メイプル超合金」のカズレーザーが、静岡出身のZ世代と語り合う“会議”の中でも、真っ先に話題に上ったのが、この台風被害だ。カズレーザーはトップたちの言動をこうみた。

観測史上最大の豪雨に…

各地で観測史上最大の豪雨に見舞われた台風15号=9月23日撮影

9月23日から24日にかけて静岡県内に猛烈な雨を降らせた台風15号。降り始めからの雨量が静岡市駿河区や浜松市天竜区で観測史上最大を記録するなど、過去に経験のないほどの大雨となり、静岡県内では3人が死亡、6人がけがをした。

世間を揺るがした“大規模断水”

静岡市清水区の貴重な水源は無残な姿に=9月24日撮影

大きな被害とともに深刻だったのが、大規模断水だ。静岡市清水区の主な水源になっている興津川の取水口を流木や土砂が塞ぎ、静岡市内では最大7万4300戸が断水。完全復旧までに約2週間を要した。

台風被害の影響はいまだに尾を引いていると話す俳優の汐谷友希

この影響を受けたのというのが、スポーツドリンクのCM出演で注目を集める俳優の汐谷友希(18)。親戚が断水被害に遭い、汐谷の自宅に避難してきたという。「親戚は近所の人に井戸水を分けてもらった。近所づきあいって本当に大切なんだなと感じた」と当時を振り返る。

自衛隊派遣をめぐって噴出した“騒動”

Z世代の意見に耳を傾けるカズレーザーと静岡在住3年目を迎えたフリーアナウンサー・竹内由恵(左)

「最初にこの話を聞いた時、なぜ川が増水しているのに、断水するという仕組みが意味が分からなかった」というカズレーザー。この大規模断水をめぐり、気になったことがあったという。

「災害派遣要請というのは、市長から知事に伝えて、知事が自衛隊に伝えるのだと思うが、個人の携帯に連絡する必要があるのか」。食いついたのが、自衛隊の災害派遣要請をめぐる田辺信宏静岡市長と川勝平太知事の“騒動”だ。

「じりじり待っていた」

川勝知事が災害派遣要請をしたのは被災から3日目だったことにも非難が集中した

静岡県が自衛隊に災害派遣要請をしたのは、発災から3日目の9月26日。報道陣から要請が遅かったことを問われた川勝知事は「残念。災害派遣要請をする用意がありながら、市・町から上がってこないということで、じりじり待っていた」と連絡を寄こさなかった田辺市長を暗に批判した。

要請自体は、都道府県知事の役割だが、詳しい被災情報が求められるため、市や町からの要請を基本としている。田辺市長の連絡なしには動けない、というのだ。

「聞いたけれど教えてくれなかった」と語った田辺静岡市長

では、田辺市長はどうだったのか。定例会見の発言にみな、驚かされることになる。「知事とは携帯で電話ができません。知りません私、携帯番号を」

これには、カズレーザーもあきれた。「市長がツイッターとかで『知事、災害派遣お願いします』って呟いたら、どうやっても(知事の耳に)届くと思う」

「ずっと仲が悪い印象」

知事と静岡市長の“仲の悪さ”はZ世代にも伝わっていると語る俳優の小池亮介

なぜ、こんな状況になったのか。浜松市出身の俳優小池亮介(27)は「今回の台風災害に限らず、いろんな問題で(川勝知事と田辺市長の)仲違いが続いている」と説明する。さらに「互いに任期が長く、ずっと仲が悪い印象。災害が起きているのに、内輪げんかというのは困る」と話す。

「LINEグループで」

「解決策はいくらでもある」と一刀両断のカズレーザー

カズレーザーはズバリ、「連絡先を交換する必要もないと思う」。そのうえで「知事と地自体の長同士で、LINEグループを作るなり、専用の携帯をみんなで融通するなりで、なんとでも解決すると思う」と提言した。

この会議には、人気インフルエンサーひかりんちょ(写真左端)やYouTuberのせりしゅん(右端)も参加

田辺市長は、台風15号の災害対応の責任を取り、2023年4月の市長選への出馬を断念。災害に限らず、リニア新幹線工事をめぐる問題でも意見の食い違いを見せる知事と静岡市長だっただけに、次の市長との関係性も注目を集めそうだ。