ハンセン病問題に関わり続ける歌手の沢知恵さんが、香川県高松市にある国の療養所、大島青松園で22回目のコンサートを先月(8月)開きました。入所者わずか29人、平均年齢86歳を超える大島から伝えたい思いとは。
今でなければ残せない記録がある

(♪ようこそ大島へ)
「ようこそ今年も大島へ 私の大好きな大島へ 青い松が美しい大島へ 青い海が光る大島へ 22回目のコンサートです とってもとってもうれしいな 生後6か月の赤ちゃんがこんなに大きくなりました」
岡山市在住の歌手、沢知恵さん。大島青松園でのコンサートは2001年から続くライフワークです。

牧師だった父親に連れられて初めて島を訪れたのが生後半年のとき。療養所で子どもを見ることは考えられなかった時代です。大人になって島を訪ねると、赤ん坊だった自分をみんなが覚えていてくれました。以来、沢さんにとって大島は、大切な場所です。

(沢知恵さん)
「今年は残そうと思って臨んだコンサートでした。これまでは楽しくやろうとか、入所者の皆さんにどうしたら喜んでもらえるかとか、そんなことを考えていたんですけど。やっぱり、終わりゆく療養所で、今でなければ残せない記録があるなと思って」
そのひとつが、療養所で生まれた歌を歌ってもらうこと。ステージにあがったのは入所者の松本常二さんです。病気の後遺症で目が不自由です。

(松本常二さん93)(昭和17年=1942年入所)と沢さんの会話
「常二さんは盲人会の会長をずっと務めていらっしゃいますけど、年に1回創立記念日があるんですよね。5月でしたっけ?5月27日。そうですね。その盲人会の創立記念日には記念式が行われて、そこで必ず歌われる歌があるんですよね」
(沢知恵さん)
「その盲人会々歌っていうのを皆さんに聞いていただこうと思っています。聞きたいでしょ?めったに聞ける歌ではありません」

(♪盲人会々歌3番)
「みどりの風にいろ冴えて やさしくゆれる紅つつじ あすへの希(ねが)いささやけば 屋島のみねは指呼にあり きよし大島の盲人会」
島の風景を盛り込んだ歌詞。光への憧れをのせた会歌です。










