ブッポウソウという野鳥です。環境省のレッドリストで、野生での絶滅の危険性が高いと指定されています。ブッポウソウとの共生を目指す取り組みが、広島・世羅町で行われています。その名も「青い鳥プロジェクト」です。

5月ごろ、東南アジアなどから日本にやってきて繁殖するブッポウソウ。「森の宝石」とも言われる希少な野鳥です。


せらワイナリーにある木製の巣箱にはヒナが顔を出していました。


せらワイナリー 醸造部 橋本悠汰さん
「巣箱は3年前に町内に巣箱をかけて回ったときに(同時に)かけた。(ブッポウソウの)営巣が確認できたのは、ことしが初めてになります」

親鳥が巣箱のヒナに何度もエサを運んでいました。子育ての真っ最中です。

かつてブッポウソウは、木製の電柱にキツツキが開けた穴を住みかにしていました。


しかし、1990年代に電柱のコンクリート化が進み、住みかを失いました。


当時、広島県にやってくるブッポウソウは8つがいまで減っていたそうです。

現在では代わりの住みかとなる木製の巣箱を設置する保護活動が進み、渡来数が回復しています。


橋本悠汰さん
「(せらワイナリーの)お客さんにこういう鳥がいるんだと見てもらえるのが一番だと思うので、せらワイナリー(の巣箱に)入ってもらえたのは、(青い鳥)プロジェクトをやるうえで一番よかった」


3年前からせらワイナリーが始めた「青い鳥プロジェクト」。巣箱をブドウ畑に設置してブッポウソウを増やし、ブドウの葉っぱや実を食害するコガネムシを食べてもらうという活動です。


農薬の量を減らしたブドウを使い、ワインを醸造できるというわけです。


せらワイナリー 醸造部 橋本悠汰さん
「(ブッポウソウと)共存しつつ、ワインのブランド力を高めていけるので、(ブッポウソウの)保護活動と並行して青い鳥プロジェクトっていうのを進めています」


せらワイナリーは、およそ20件の契約農家全てに巣箱を設置してもらいました。今谷さん夫婦は、プロジェクトが始まった3年前から巣箱を設置しています。ことしもブッポウソウがやってきたそうです。


今谷博子さん
「ブッポウソウが来て、毎日、とっても楽しかったです。家族の一員ですね」


今谷洋二さん
「朝6時前ぐらいに起きたら一番最初にきょうはどこにとまっているか(見る)。


今谷さん夫婦は毎年、ブッポウソウがやってくるのを心待ちにしています。


今谷博子さん
「また、きれいなけえねえ、鳥が。夕日があたったら、すごくきれいなんですよ」

ことし、今谷さんのブドウ畑のブッポウソウは、7月中旬に子育てが終わり、巣立ちました。最後はお礼を言うように今谷さんの家の上を旋回したそうです。


今谷洋二さん
「うちの家に来てくれたというのが、うれしいねえ」

ブッポウソウがブドウ畑にいることで意外な効果もあるそうです。

せらワイナリー 醸造部 橋本悠汰さん
「毎日、ブッポウソウの様子を見るのが楽しみで畑行くよ、なんて言ってくださる農家さんもいる。ブドウづくりの活力にもなってるのかなと思います」


せらワイナリーは、「青い鳥プロジェクト」に参加している農家が生産したブドウを使ったシンボルワインを醸造しました。

こちらの「AO」です。ブッポウソウをイメージしたさわやかな飲み口の白ワインです。


せらワイナリー 醸造部 橋本悠汰さん
「こちらの売り上げの一部は実際にブッポウソウの保護活動に支援させていただいております」

世羅町では野鳥との新たな共生に向けた取り組みが進んでいます。

― ブッポウソウは、全国的には絶滅の危険性が高いとされていますが、こうした活動の成果で広島県の去年、改定されたレッドデータブックでは「絶滅の危険度が低い」とされました。ただ、存在基盤は、この巣箱に依存しているのでぜい弱とされています。保護活動の継続が必要だということです。


― せらワイナリーでは、レストランの窓から見える場所に巣箱があり、お客さんやスタッフの癒しになっているそうです。