2030年までの実現を目指して、国連が掲げる「持続可能な17の開発目標」のうち、7番目の「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の話題を取り上げます。

傷や割れなどの理由から、市場に卸されず、捨てられることも多い規格外の野菜。そうした野菜を地元の大学生たちが活用し、朝の活力になる素敵な料理へと変えています。テーマは「美味しいから社会問題を伝える」です。

カフェ・ビーンズもりの里店


金沢市若松町にあるカフェ・ビーンズもりの里店。
金沢大学の通学エリアで賃貸物件を展開する「のうか不動産」が経営する会員制のカフェで、朝から多くの学生や社会人が訪れ、通学や出勤の前にゆったりとした時間を過ごしています。

こちらで4月から、野菜のうまみがたっぷり詰まったスープの販売が始まりました。スープの最大の特徴は規格外の野菜を使っている点で、金沢大学の学生が調理しています。

にんじんとかぶらのポタージュスープ


1杯100円という安さ、素材の味が活きるよう味付けは塩コショウなどにとどめています。

中心となってスープづくりを企画したのは、SDGsについて様々な形で情報発信をする2人の学生、鳳(おおとり)わこさんと凰(おおとり)えこさんです。

左:鳳わこさん 右:凰えこさん


「私の実家が農家なんですが、かなりの量の野菜が捨てられているという現状があって。食べられるし美味しいし、スープにするなら規格外の野菜ってもってこいで甘いんですよ。みんなにそれを使って伝えることができるのがいいなと思って」(鳳わこさん)

大学の授業を通して仲良くなったという2人。
2人は金沢市を拠点に全国へ野菜や果物を卸している「薄井青果」から、毎週規格外野菜の提供を受けています。

薄井青果社長の薄井壮登志さんは、廃棄されることも多い規格外の野菜について、社会全体で捉えるべき問題だと指摘します。

「ここまできて納品できないものが数多いので、そういったものを積極的に手に取って頂けるような社会だったり仕組みが出来上がると負担が減る」(薄井青果・薄井壮登志社長)

規格外の野菜





小さな傷のあるサツマイモや、割れ目の入ったニンジン。まだ食べられるものであってもこうしたものが市場に卸されることはありません。

日々歯がゆい思いをする中で、薄井さんはわこさん、えこさんのスープづくりの手伝いをすることにしました。

野菜を提供する薄井さんと受け取るわこさん・えこさん


「(2人は)何か課題を解決しようとしているまなざしで、野菜・果物を見ながらどう調理しようかなということを話し合いながらいつも品物を見ている。(今後も)提供し続けようと思っているのでぜひ頑張ってほしい」(薄井青果・薄井壮登志社長)

カフェでスープを提供するのは毎週月曜日。2人は2日前の土曜日に、サポートにあたる学生と一緒に受け取った野菜を仕込みます。

野菜を仕込むわこさん


日によって受け取る種類が違うため細かいところは決まっておらず、販売当日の朝に味付けの方向性を決めています。

野菜の量にもよりますが、1日30杯を超えて販売されているスープ。

ひと月が経った今、リピーターも多く毎週好評のようです。

スープを提供するえこさん


「先週いつも通り朝ご飯を食べに来た時に(販売を)やっていて知った。(通常は)使われない野菜を無駄なく使えるのは社会的にもいいことだと思う」(スープを食べた客)

「優しい味、素材本来の味が生きているなと思ったのと、第一オシャレですよね。色合いもそう、飾りつけもそう、新たな価値が見出された感じで食べているこちらとしても嬉しくなる。」(スープを食べた客)

規格外野菜を使ったスープの販売の目的を、わこさんとえこさんはこのように話します。

鳳わこ「何も考えずに美味しいって食べてくれて、それが廃棄野菜なんだって食べ終わった時にふと考えてくれてこういう問題も世の中にあったんだなって、スーパーに並んでいる野菜が何でこんなに整っているんだろうってそういうことに目を向けてもらえるようになったら」

凰えこ「私たちのスープをおいしいって食べてくれて、スープを通していろいろ会話する中で温かい気持ちになって1日を楽しくスタートしてもらえたらなって」

学生たちが作った温かいスープ、フードロスについて考えるきっかけを、美味しさとともに届けます。