世間はゴールデンウィーク真っ只中ですが、コメ農家にとっては1年で最も忙しい田植えの時期です。ところが石川県野々市市では今、田植えが連休に間に合わない事態が起こっています。
爽やかな青空が広がる野々市市内の水田。あちこちで田植えが行われていますが、今年はある異変が起きています。

農家の男性
「当初はきょうとあすで終わる予定だったが、きょうはあと1枚植えたら30分で終わる」
この男性の田んぼは連休中に田植えを終える予定でしたが、3分の2の苗が間に合わないというのです。
一体なぜ、このような事態になったのか。苗を育てている「JAののいち」に聞いてみると…

JAののいち・西村信夫組合長
「農薬を使うんですけど、まく時期を間違えていた」
JAでは4月上旬に種をまいて苗を育てていますが、種まきから2週間が経った頃、生育にむらが見つかったのです。
西村組合長
「従来は種まきをしてすぐまく農薬を使っていたが、たまたまその薬剤がなくなってしまった。代わりの農薬は大きくなってからまくものだったが、先にまいてしまった」
農薬を使うタイミングを誤ってしまったため、およそ6000箱の苗が生育不良となり、廃棄せざるを得ない状況に。
JAののいちでは急きょ、近隣のJAから余った苗を融通してもらいましたが、半分ほどは種まきからやり直しになり、およそ30軒の農家で田植えが2週間遅れる事態になりました。
連休に家族総出で田植えを行う農家は、今年は5月中旬にも田植えをすることにしました。

農家の男性
「ちょっとめんどくさいなとは思うが、苗がこのような状態なので仕方ない」
男性の息子
「仕事の都合もあるが、手伝えるときは手伝ってあげたい」
西村組合長
「人手の関係もあるのでゴールデンウイークが一番よかったが、残念ながらこういうことになってしまい大変申し訳ない」
連休には間に合いませんでしたが、同じ北陸地方の富山県や福井県では5月中旬に田植えをするところも多いということで、2週間ほど遅れても収穫や品質への影響はないということです。

JAののいちは、足りない苗を5月中旬までに配り終えたいとしています。