今年、日本復帰70年を迎える奄美群島。奄美市で、記念の式典が開かれました。
今年の大きなテーマの一つが「次世代に語り継ぐ」群島の島々の若者たちも参加して、歴史を風化させることなく語り継いでいくことを誓いました。
奄美群島の日本復帰70周年を祝う記念式典が、今月11日、奄美市で開かれました。奄美群島は戦後8年間、アメリカの統治下に置かれ、1953年に日本への復帰を果たしました。
(実行委員長 安田壮平奄美市長)「日本復帰を果たされた先人たちの思いをしっかり受けとめ、次世代へ語り継いでいくとともに、奄美群島の新しい時代を築いていく力としていきたいと考えます」
式典では、「語り継ぐこと」をテーマに、奄美群島の中高生が地域の語り部に聞き取りをした映像も紹介されました。
語り部の取材は、今年8月から10月にかけて行われました。島々の若者たちが、復帰当時を知るお年寄りを訪ねて話を聞きます。
(徳之島・中学生)「復帰をした時は盛り上がってたんですか?」
(徳之島・語り部)「良かったち思って、バンザイしたの」
(沖永良部・語り部)「一番最初に立ち上がったのが、沖永良部高校なの。生徒総会をして。プラカードを掲げてメガホンを持って」
(与論・中学生)「終戦が決まった時って、どんな気持ちだった?」
(与論・語り部)「解放されてホッとした」
奄美大島で聞き取りをしたのは、3人の高校生たちです。
(大島・語り部)「パスボートをもらって東京へ出て。東京で奄美が日本に復帰したということを聞いて、ひとりで喜んだんですよ」
高校生には、式典で大役が任されることになりました。
ステージの進行です。
「ちゃんと進行することももちろん大事なんだけれども、語り部や先人たちの思いを継いでいく時に、感情をのせられる島口の方が礼儀としては正しいんじゃないか」
ステージでバックバンドを務めるのは、島の演奏家の皆さん。
「みんなの手でやる。みんなの力で作っていく」
「すごい」
「島の人たちで作り上げていくっていうのが素敵だよね」
「ねえ」
式典前日。語り部取材をした島々の中高生も、奄美大島にやって来ました。
(奄美群島広域事務組合 松田健作さん)「次世代を担う子どもたちにはぜひ参加してほしい。次につながる式典にしていきたい」
司会を担当する安田琉夏さんと、城音羽さん。放送部に所属している城さん、原稿を読むことには慣れていますが、島の方言を使うことはあまりありません。
「アリガッサマリョータ(ありがとうございました)で合ってます?」
式典には、島内外からおよそ1000人が出席しました。
「一つ一つの言葉に気持ちをのせて、来てくれた方に思いが伝わるように」
「二人で元気よく、奄美らしさのある司会進行をできるように頑張ろうと思います」
午後3時。開式です。
「うがみんしょーらん!」
「当時の島っちゅの気張りがあって、私たちが奄美群島の島々に生かされていることに感謝します。改めて島々の先人たちに、アリガッサマリョータ、ウフクンデータ、オボラダーニ、ミヘディロドー。トートガナシ」
語り部たちの映像の後、若者たちが舞台に立ちました。
「アメリカからのクリスマスプレゼントとして日本に返還された奄美群島。私は語り部の方々の取材を通して、当時の奄美の人々から今の奄美を生きる私たちへのプレゼントととらえることもできると感じました。私はこの歴史ある島に生まれたことを誇りに思います」
シマ唄などの伝統芸能や、奄美出身のアーティストたちによるパフォーマンスが花を添え、最後は、六調でにぎやかに幕を閉じました。
(出席者)
「これだけ盛り上がったのがいいと思うし、次につなげていけたらいい」
「これからの子どもたちが伝えていくという力強さを示してくれた」
(大島高校2年 安田琉夏さん)「奄美に生まれ育ったことのありがたさを感じました」
(奄美高校2年 城音羽さん)「司会を最後まで成功?成功でいいよね。成功させられた事が誇らしいです」
歴史と記憶を風化させることなく、繋いでいく。12月25日の復帰の日まで、周年事業の取り組みは様々な形で行われます。