■台風災害の注意点


専門家は「台風災害では、影響が長期間するおそれがある」として、食料などの備えや早期避難の重要性を指摘します。

自然災害や防災を研究する鹿児島大学の井村隆介准教授です。

(鹿児島大学・井村隆介准教授)
「台風の時は雨だけで地盤が緩むのではなく、木が風で揺すられて地盤そのものが緩む。今年の梅雨の雨でも耐えたから大丈夫だと思わないでほしい」

■雨の降り方 台風の速度で“上振れ”影響も


台風は迷走したり、スピードが落ちて長くとどまる場合があり、雨の降り方に影響します。

(鹿児島大学・井村隆介准教授)
「台風が進路を変える時はスピードも落ちる、その時に雨が降っているエリア、風が強いエリアは長く影響が続く。土砂災害が起きるときは時間雨量、短時間にたくさん降るときもあるし、時間的には降っていなくて弱い雨でも長く続けば、土砂災害は起こりやすくなる。台風のスピードが落ちる時は、両方が重なるので長い間注意が必要」

■風雨が強くなる前に対策を マンション高層階も油断せず


台風の勢力によっては、トラックが横転するおそれがあるほどの猛烈な風が予想される場合があります。

風が強くなってから対策をしようとすると、屋根から転落したり、ドアや窓などで身体を挟んだりし、けがをする場合があります。

まだ影響が少ないうちに、物が飛ばないように固定するなど対策をとってほしいと強調します。マンションの高層階でも油断禁物です。

(鹿児島大学・井村隆介准教授)
「5年前、近畿地方を台風が襲った際にマンション8階でも外から飛んできたものでガラスが割れて家の中で亡くなった人がいる。高台にあるから、高い階に住んでいるから大丈夫と思わないで、窓側から離れることが大事。ベランダなどにあるものは洗濯ばさみでも凶器になるので、今のうちにしまっておいてほしい」


停電に備えて携帯電話の充電バッテリーを用意しておくことも大切です。

台風の接近で、スーパーやコンビニエンスストアなどで、営業を見合わせるところもありますが、水や食料の準備のほかに、今の時期は熱中症への対策も必要です。

(鹿児島大学・井村隆介准教授)
「風が強くなってくると窓も開けられなくなってくる。そこで停電が起きると熱中症が今の季節は起こり得るので、水や食料に加えて体を冷やす対策をどうしておくべきか、今のうちに考えてほしい」


自治体が出す避難情報や気象庁の「キキクル」などの情報を活用しながら「明るいうちに早めの避難を心がけてほしい」と呼びかけます。

(鹿児島大学・井村隆介准教授)
「30年前の8・6水害の時は気象条件的には今の評価で言うと『線状降水帯ではなかった』と気象庁から言われている。線状降水帯がもし鹿児島市にかかってくることがあれば、8・6水害以上の災害が起こる可能性がある。
奄美もそうだが、避難指示など自治体から出ている。避難するかどうかは皆さんにゆだねられている。より安全、安心なものは何か皆さん自身が考えてほしい」