フィリピン軍が災害救助のノウハウを得ようと、18日、鹿児島県霧島市の陸上自衛隊国分駐屯地を視察に訪れました。安全保障を巡る環境が厳しくなる中、両国のこうした連携にはもうひとつの狙いもありました。
(記者)「午前8時半です。フィリピン軍を乗せたバスが国分駐屯地に入ってきました。400人の隊員が拍手で歓迎しています」
国分駐屯地を訪れたのは、フィリピン陸軍で災害救助などを担う17人です。自衛隊は10年前から、東南アジアを中心に災害救助のノウハウなどを提供する活動を続けていて、今回のフィリピン軍の訪問もこの一環です。
フィリピンは、日本の8割ほどの国土に、20以上の活火山がある世界有数の火山国です。1991年に北部・ルソン島で起きた火山噴火では火砕流などで800人以上が死亡、おととしも同じルソン島の噴火で39人が犠牲となるなど、火山災害が相次いでいます。
18日の視察では、逃げ遅れた被災者などを探すドローンや、ガスマスク、がれきを砕くドリルなどが紹介されました。中でもフィリピン軍の隊員が関心を示したのが…。
(自衛隊の説明)「200度の環境下で15分活動できます」
高温の環境に耐えられる防護服です。
(自衛隊)「防護服は再利用できません」
(フィリピン軍)「一度使ったら廃棄?」
(自衛隊)「そうです」
(フィリピン陸軍 バジェット ジェーティー准将)「この支援プログラムを大切にしながら、自衛隊と一緒に訓練し災害に備えたい」
実は、今回の支援プログラムには、もうひとつ目的があります。
(フィリピン陸軍 バジェット ジェーティー准将)「両国の軍事的な力をより発展させるこの取り組みに期待している」
海洋進出を進める中国を念頭に置いたとみられる、東南アジア諸国との防衛面での連携強化です。フィリピンは、中国と南シナ海・南沙諸島の領有権問題を抱えています。日本も中国と領有権問題を巡り対立する中、同じ課題を抱える国との連携は重要といえます。
(国分駐屯地・古川琢弥司令)「(フィリピン軍は)民主主義、法の支配など普遍的な価値を共有する戦略的パートーナー。日本の発展とフィリピン軍の発展に向けて努力したい」
防衛面での連携強化も視野に入れた今回の支援。フィリピン軍は19日は桜島などを視察し、20日は熊本で火山防災の研修を受ける予定です。