東海地方に避難してきたウクライナの人たちに母国のパンの味を楽しんでもらうため、人気のベーカリーが「ウクライナのパン」を商品化する動きが出ています。一体どんなパンなのでしょうか。


4月、​愛知県安城市にウクライナから避難してきた、ルスランさん(38)と妻のリディアさん(35)。


(パンを試食したルスランさん)
「おいしい」


1か月ぶりの母国ウクライナの味、思わず笑みがこぼれます。


4月の取材時には、日本での暮らしについて、こんなことを話していたルスランさん。


(ルスランさん)
「生活で困っていることは、日本語が理解できないことです」


「言葉の壁」や「就職先」といった不安を口にしていたルスランさんでしたが、日本で新しい生活を始めて1か月近く経った今、新たな悩みが…。


(リディアさん)
「日本の料理は、まだ慣れない。だからウクライナの物が食べたくなる」


特に恋しくなるのはウクライナ人の主食、パンです。
ウクライナは小麦の輸出量が世界第5位で「ヨーロッパのパンかご」とも言われています。国土には広大な穀倉地帯が広がっていて、ウクライナ人にとってのパンは、日本人にとってのコメと同様、特別な食べ物なのです。


(リディアさん)
「久しぶりにウクライナのパンを食べたので、うれしい」


(パンのトラ 加藤敦揮・社長)
「前々からウクライナの戦争を映像で見ていて、ひどいなと思っていた。目の前で困っている人(ルスランさん夫婦)をみて、自分たちにできることは(ウクライナの)パンを食べてもらうことだと」

こう話すのは愛知県安城市に本社を置く「パンのトラ」の加藤社長です。
「パンのトラ」は愛知県内にベーカリー6店舗を構える人気店で「日本でもウクライナの人にふるさとのパンを食べて欲しい」とウクライナのパンを作って店頭に置くことを決めました。


(パンのトラ 加藤社長)
「変えた方がいい所はありますか?」


販売を前に試作品のパンを2人に食べてもらうことに。ライ麦を使った「黒パン」や中にフルーツのジャムが入ったドーナツパン「ポンチキ」など6種類のウクライナのパンを販売する予定です。


(ルスランさん)
「こちらのパンは、すごくウクライナの味に近い。ただ、このパンはもう少しニンニクを効かせた方がいい」

(パンのトラ 加藤社長)
「分かりました。(ガーリックオイルを)3回塗ればいいですよね?焼く前と焼いた後に」


「ウクライナのパンを日本でも」と試行錯誤するルスランさん夫妻と加藤社長には、こんな思いも。


(リディアさん)
「日本人もウクライナのパンを食べて気に入ってほしい。ウクライナの文化を伝えたい」

(パンのトラ 加藤社長)
「できるだけウクライナの味に近づけて。食卓で再現してウクライナを感じてみるというのは、体験としていいのかなと思いました」


ウクライナのパンは、早ければ5月末にも「パンのトラ」の各店舗で販売され、その利益は全額、ウクライナに送る乾パンの費用にあてられるということです。