シベリアで抑留された元日本兵が、ロシア人女性にプロポーズされた”禁断の恋”のエピソードを紹介してきたが、取材中にそれとは全く逆のエピソードを耳にした。これは連載中の「シベリア抑留記」の続編である。

私はシベリア抑留中に禁断の恋に落ち、恋人だった現地のロシア人女性に作ってもらったボルシチの味が忘れられないという、名古屋に住む長澤春男さん(現101歳)を取材した。

その長澤さんに思い出の味を堪能してほしくて、ボルシチを提供してくれる飲食店を探した。「少しでも力になれれば」と協力してくれたのは、愛知県内にある料理店だった。

真っ赤なビーツが印象的なボルシチが、テーブルに運ばれてきた。