映画『空に聞く』
監督:小森はるか
(C) KOMORI HARUKA

東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた岩手県の陸前高田市で、臨時に設立されたFMラジオ局を記録した映画です。
丁寧に声を拾い情報を届ける、パーソナリティーの阿部裕美(あべひろみ)さんの様子が、被災者の日常とともに描かれています。

この映画を撮影編集した「小森はるか監督(新潟市秋葉区在住)」が、映画撮影のために訪れていた新潟県の阿賀野市でインタビューに応えてくれました。

【『空に聞く』小森はるか監督】「自分が高田に生活者としてもいるようになってこそ、見えてくる人の温かさとか、温かさだけじゃなくて震災で失ったものがどれほど大きなものだったのか、というものも知っていきました」

静岡県出身の小森監督(33歳)は、震災時は東京に住んでいたそうです。
2012年にボランティアとして陸前高田市を訪れ、その中で「震災で失った場所には人々の記憶が残っている」と強く感じ、映画を作ることを決めました。

【『空に聞く』小森はるか監督】「皆さんが楽しくお話をされているのって、昔の街の記憶とかそこにあるかのように語っていて…。街の人たちの目を通せば、そこに何かがあるってことがわかる」

多くの人に出会う中で小森監督は、パーソナリティーの阿部裕美さんが、ラジオを通して被災者と一緒になって記憶を呼び起こす姿に感銘を受け、2013年から5年間撮影して映画を作りました。

小森監督は「当事者でなくても震災に共感を示すことに遠慮は必要ない」と話します。

映画は3月12日に新潟県長岡市で上映されます。
中越地震で大きな被害を受けた長岡市だからこそ、より多くの共感を寄せてほしいと考えています。

【『空に聞く』小森はるか監督】「被災者の経験が、色んな人の人生のあらゆる経験と重なったらいいというか…。東日本大震災のことを皆さんに感じてもらったり受け取ってもらうだけじゃなくて、見に来た方たちが中越地震を思い返したり、『あぁ、こういうことが大事だったなあ』と話したりできるような機会になったらうれしい」
