今月12日に新潟県長岡市で開催される『長岡アジア映画祭』で、東日本大震災をきっかけに再結成したアマチュアバンドの演奏が予定されています。
バンドが歌うのは、福島の避難者の声をもとにした曲です。

長岡市の住宅街。民家の2階にあるスタジオがあります。

『ウィズ・コーション』
60代の男女5人組のアマチュアバンドです。

リーダーはパーカッションの若井武美さん(69歳)。

もともと20代の頃、ヴォーカル兼ギターの飯塚寿之さんと2人でバンド活動をしていました。
しかし、社会人として忙しくなり解散。

再び集まったのは、3.11がきっかけでした。

【リーダー パーカッション 若井武美さん】「ライブをやろうやということで、飯塚さんと再結成。その次に入ってきたのがギター星野さん。最近2人が気持ちは通じていましたね」

【キーボード 吉岡佳代さん(61歳)】「実は飯塚さんと家族なので、初期の早い段階から作っているのを聴いていて、いい曲だねと」

【ベース 坂詰浩さん(62歳)】「曲が自然の音楽とか人間同士のつながりを大事にしている、そういうところがいい」

バンドのテーマは『命と大地にラブソングを』

【ボーカル&ギター 飯塚寿之さん(63歳)】「命とか自然を愛しているということ。だから、そこを脅かされるているようなものは駄目だよなと、気持ちが揺れる…。揺れないと曲を作れない」

福島の避難者と交流があった若井さん達。
ある時、福島の方に架かった虹を見て作ったのがこの曲でした。

【福島の明日に架ける橋】
♪あの日 あなたと子どもたちの私の夢が遠く消えた…

実は、歌詞の参考にした詩集がありました。

福島第1原発の事故を受けて、柏崎市に一時避難していた佐藤紫華子(さとう・しげこ)さんの『原発難民の詩』です。

詩集を手にした、飯塚さんの心が動かされました

【福島の明日に架ける橋】
♪海が大地が揺さぶられて 信じた神話が崩れ落ち

土地は奪われて荒れ果てたまま 深い傷跡残したまま…

【ボーカル&ギター 飯塚寿之さん】「これは、遠い国や遠い街の出来事じゃないんだよ、ということをいつも胸に刻んでおきたい」

ほかのメンバーも想いは同じです。
【ギター 星野淳さん(63歳)】「12年経って、このことをだんだんと人が忘れていってしまうことが一番辛いこと」

未来のためにも忘れないように…

【リーダー パーカッション 若井武美さん】「1年に1回事故を思い出して、ふるさとをなくしてしまった人たちを思い出す、思いを馳せる日…」

♪愛しいふるさとに架ける橋~