海外のおしゃれなものやかわいいものであふれ、若い女性を中心に人気の生活雑貨店「PLAZA」。2026年には創業60年を迎え、今や親子三代で通う客も多い。
そんなPLAZAを展開するプラザスタイル カンパニーが、2月20日、大規模なリブランディングを発表した。これからのライバルは雑貨やコスメを売る小売店ではなく、新たな競合はテーマパークだという。その思いを聞いた。
物を売るだけでなく、新しい文化や習慣を作ってきた
日本にビートルズがやってきた1966年、銀座で「ソニープラザストア」として産声を上げたPLAZA。日本中が憧れを抱いていた海外のおしゃれな品々を輸入し、“目新しい商品を売る店”として注目を集めた。
しかし、PLAZAが革新的だったのは、見たことのない外国のものが手に入るというだけではなく、まったく新しい体験や文化を発信してきたことだ。
創業直後に、日本ではほとんど見かけることのなかった「ソーダファウンテン」を設置。アイスクリームや飲みものを提供するカウンターで、当時、アメリカのドラッグストアで定番となっていたものだ。
また、1968年には百貨店に先駆けてバレンタインデーに向けたチョコレート売り場を展開し、“バレンタインにはチョコレートを贈る”という文化が日本中に広まる一因となった。
さらに、炭酸入りナチュラルミネラルウォーター「ぺリエ」、定番カードゲーム「UNO」、アウトドアブランドの「L.L.Bean」や「E.G.スミス」のBOOT SOCKS(ルーズソックス)まで。海外の“心はずむ商品”を見つけ出し、国内でいち早く販売してきた。
「日常の心拍数を上げる」創業60年に向けて生まれ変わる
2026年に創業60年を迎えるにあたり、大きく生まれ変わろうとしている。
鈴木努カンパニーエグゼクティブプレジデント
「リブランディングはPLAZAの存在意義ってどういうことなんだろうとか、向こう50年進んでいくためにどういうことを大事にしていかなきゃいけないんだろうとか、そういったことを明らかにするためのものです。
今回の大きなミッションに“日常の心拍数を上げる”というものがあります。ただ物を売る小売店ではなく、人々の日常の心拍数を上げる会社なんだと思うと、様々な発想って出てくると思うし、我々ができることっていっぱいあると思うんですよね」
PLAZAは「ライフスタイルストア」から「ライフモチベートブランド」へ変貌をとげるのだという。人々の人生のモチベーションを上げるブランドになる、そのためには競合相手もこれまでのように雑貨やコスメを販売する小売店だけではなくなっていくという。意識する競合はテーマパークだ。
鈴木さん
「テーマパークに行くと、何歳になっても純真無垢な気持ちになる。乗り物に乗りに行くっていうよりは気持ちを変えに行く場所じゃないですか。
そこに行くだけで1日違う自分になれる。まさにそれって店舗でも作れることだなと。ちょっと時間が空いたときに来れば豊かな気持ちになって帰れる、そんな店にしたい」
社会の変化に合わせて変えていくこと、変えてはいけないこと
リブランディングをすることで達成するべき目標は、具体的に決めている。
鈴木さん
「向こう5年間、2028年には会社の売上の中でPLAZA以外の売上を全体の3割に、海外の売上を全体の1割にする。これを実現したいと思います。難しい目標かもしれないけど、目標ってやっぱり掲げないといけないじゃないですか。
『いつかは富士山に登ろう』って思ってる人は多分一生登らなくて、『今年の〇月〇日に登るんだ!』って決めた人がそれに向けて、どのルートで、何を着て登ろうって準備をする。
なので、目標をはっきり言って、2028年に達成すると決めて、そこに向けて今どう動くかということが大事なのかなと思います」
この目標が掲げられた背景には社会の大きな変化がある。創業当時は日本の人々が欧米のライフスタイルに憧れる時代だったものの、今はスマートフォンひとつで海外との垣根がなくなり、海外からのインバウンドも増え、日本のいいものを海外に知ってもらう役割も果たしていく時代になったという。
また、コロナ禍を経て、もし再びコロナ禍のような状況になったら…ということも考えるようになった。店が開けない状況に陥ったときに店舗での売上だけに頼っていてはダメだと考えプライベートブランドの立ち上げなどにも力を入れるようになった。
一方で、リブランディングをしても変えてはいけないこともあるという。
鈴木さん
「社員が会社を愛してくれる気持ち、ここは絶対にブレさせてはいけないと思いますね。そこをちゃんとベースに持ちながら新しいことにチャレンジしていく。
私は“愛される企業”というワードが大事だと思っていて、これからもっともっとみんなに愛される企業になっていきたいと思っています。お客様からもより愛され、働いている社員からも愛される会社にならないとダメだなと。そんな企業を目指していきたいと思っています」
心拍数を上げる新たなショッピング体験
“日常の心拍数を上げる”=HEARTS UP! (ハーツアップ)する。そのミッションを多くの人に知ってもらうため、2024年2月20日(火)から3月3日(日)までの間、「HEARTS UP! SHOPPING(ハーツアップ!ショッピング)」というイベントをPLAZA東京店で開催する。
鈴木さん
「お店の入口で、お客様にショッピングかごの代わりにギフトボックスを手に取っていただいて、プレゼント用の買い物だけでなく、自分用の買い物もギフトボックスに商品を入れてもらって、レジに持って行ってもらいます。ギフトボックスとともに60種類の素敵なステッカーを用意していて、例えば“GOOD LUCK!”とか“LOVE YOU!”とか。好きなステッカーを1枚選んで貼ることができる。
なにげない“買い物”という一つの行動も“HEARTS UP!できる買い物体験”に変えられる、そんなチャレンジをします。
頑張った自分にちょっとご褒美したいときってありますよね。自分用の買い物なのに、『ギフトで』って言っちゃうことってありますよね。それって人間の心理だと思いますし、PLAZAのお買い物体験の中で味わってもらえればうれしいです」
ギフトボックスはブルー・ピンクの2色で、サイズは4種類用意される。そこに全60種類から選ぶオリジナルステッカーを合わせ、自分だけの特別なギフトボックスを作ることができる。
さらに3月15日(金)から17日(日)には、PLAZA 渋谷109店、PLAZA 梅田ヘップファイブ店の2店舗でも「HEARTS UP! SHOPPING」の開催が予定されていて、違う色のギフトボックスが登場するという。
“ギフトボックスのような仕掛けで日常をプロデュース”広がり続ける可能性
店で物を売るだけではなく、様々なシーンで人々を“HEARTS UP!”していきたい、と話す鈴木さん。将来の可能性について聞いた。
鈴木さん
「例えば、PLAZAがホテルの一室をプロデュースしたらどんな素敵なホテルができるんだろうとか、公衆トイレを改修したら?とか、高校の制服をプロデュースしたら?とか。あとはペットを飼ってる人にプレゼントで贈りたくなるようなペット用ギフトを中心としたペットショップがあったら楽しいですよね。
それから、病院で薬をもらいに行くときってあんまりテンション上がらないじゃないですか。HEARTS UP!できる調剤薬局があったらどうだろう。味気ない白い袋で薬をもらうんじゃなくて、ギフトボックスのような箱に薬を入れてもらって、飲むのがちょっと楽しくなるような仕掛けがあったりとか、そういう何気ない日常を少し楽しく変えることができればなと思います」

鈴木さんの口からは日常の中の何気ないシーンを“HEARTS UP!”する方法が次から次へと飛び出した。社内では会議のことを“HEARTS UP!ミーティング”、チームのことを“HEARTS UP!チーム”と呼んで、自分たちの心拍数も上げているのだという。
創業当初から新しい体験や文化を取り入れてきた、“古い慣習にとらわれない”というDNAも引き継ぎながら、PLAZAは新たなフェーズに入っていく。
PLAZA「HEARTS UP! SHOPPING」開催予定
①2024年2月20日(火)から3月3日(日)
・PLAZA 東京店(東京都千代田区丸の内3-5-1 東京国際フォーラムA棟 1F)
②2024年3月15日(金)から17日(日)
・PLAZA 渋谷109店(東京都渋谷区道玄坂2-29-1 SHIBUYA109 B2F)
・PLAZA 梅田ヘップファイブ店(大阪府大阪市北区角田町5-15 HEP FIVE 4F)