「娘は、原形がわからないほど全身が腫れあがっていて、大部分の肌の色は赤黒く、数え切れないほどのアザがありました」
「2リットルのペットボトルに血を入れられて、かけられたかのような血だまりを、被告に引きちぎられた髪の束で拭いて、被告に殺されたくなくて、食べている娘が映っていました。娘の目はうつろでした…」
同棲していた女性(当時18)に執拗に暴行を加え死亡させた上、床に広がった血をすすらせ、髪の毛で拭き取らせて口に入れさせるなど、常軌を逸した強要行為に及んだ男(22)。遺族の40分にも及ぶ意見陳述は、あまりに悲痛だった。
女性の携帯電話からメール 自殺に見せようとしたか「パニック状態でした」

山中元稀被告(22)は今年5月7日夜と同8日夜~9日未明に、大阪府泉佐野市の自宅で女性(当時18)に対し、全身を多数回殴る蹴る、髪の毛を引きちぎるなどの暴行を加え死亡させたうえ、暴行時に床の血をすすらせるなどの行為を強いたとして、傷害致死罪と強要罪に問われている。
5月8日夜から、再び凄惨な暴行を受け、衰弱し息絶えていった女性(当時18)。しかし、山中被告がすぐに通報することはなかった。女性の携帯電話で「最低なことしてごめん。もう死ぬ」と自らのアドレスにメールを送信。偽装工作を行った。
山中元稀被告(被告人質問で)
「自分をかばってしまう所があったので…」
「パニック状態でした」
最終的には5月9日の夜、自宅を訪れた母親に促される形で通報するも、警察署での取り調べでは「被害女性がペティナイフ(洋包丁)を持って襲ってきた」というウソの証言をした。被告の携帯電話の検索履歴に、「正当防衛」「浮気殺人」「傷害致死」などの言葉が残っていたことも確認されている。
弁護人「(調書にある)“被害女性が左胸にめがけてペティナイフで刺してきた”。これはウソですよね?」
被告 「刺してきたということではないです。ただ、もみ合いの中で刺さったので…。正当防衛や無罪を主張しようとしたわけではなかった」
弁護人「女性の命を奪ったことは、どう思っている?」
被告 「どんな理由があっても、やってもいいことと、やっちゃダメなことがあるのは当たり前ですし、命を奪うことによって、本人だけが被害者ではなく、ご遺族も被害者で… 本当に取り返しのつかないことをしたと思っています」