富山市の奥田交番襲撃事件が発生して6月26日で4年。刑事裁判では名古屋高裁金沢支部が無期懲役とした一審判決に事実誤認があるとして、審理を富山地裁に差し戻しました。なぜ夫が死ななければならなかったのか、事件で命を落とした中村信一さんの妻は、今もその答えを求め闘っています。

夫を亡くした中村さん:
「(島津被告には)この私たちの苦しさ、悔しさ、悲しさっていうものをやっぱり彼に分かって欲しいという思いの方が強くて。10年後だろうと20年後だろうと、いつか応えてくれるだろうと、信じてはいます」

命日を前に、警備員・中村信一さんの妻は、裁判で何も語らなかった島津被告への思いを語りました。

【奥田交番襲撃事件】
4年前の2018年6月26日、中村さんの夫、信一さんは、奥田交番の警察官を殺害し、拳銃を奪った元自衛官の島津慧大被告に、警察官と見間違えられ殺害されました。

【2021年6月提訴】
夫を亡くした中村さん:
「なぜ夫は死ななければならなかったのかと。この裁判を通じて明らかにしたい」

中村さんが県警の初動対応を明らかにしようと、去年6月に起こした民事裁判は、今も続いていて、県警が訴えの棄却を求め、争う姿勢を示しています。

【2022年6月】
民事裁判で中村さんの代理人を務める清水勉弁護士は、県警の初動対応についてこう指摘します。

中村さんの訴訟代理人 清水勉弁護士:
「(県警は)今回、事件を起こした人間は、そのあとどういう行動を起こすかについて、逃走しか考えてないところが、非常に問題かな。本当にそういう認識だったんだとすれば、富山県警は繰り返しますよね。同じことを」

【イラスト】
私たちが入手した、信一さん殺害の状況が映ったドライブレコーダーの映像をもとに、当時の現場の様子をイラスト化しました。

映像には、自転車に乗る人やジョギングをしている人が映っていました。

島津被告が奥田小学校の前にいた信一さんに駆け寄り、射殺する直前の現場は、交通規制もされておらず、パトカーや制服を着た警察官の姿もありません。

清水 勉 弁護士:
「小学校はわりと近いところでもあったので、小学校の子どもたちが、けがをしないようにっていう対応を警察で考えなければいけないし、大事なのって、そこの小学生の子どもの命だけではなくて、近隣に住んでる人も通行人も同じなので、なぜそれを同時並行にやらないか。つまり組織としては、近隣の住民が危害を加えられるかもしれないってことについて、危惧してないんですよ。(警察官から)言ってもらえたから助かった人と、言ってもらえなかったため殺される人が出るのっておかしいじゃないですか」

【県警資料】
これまでの裁判で県警は、午後2時13分ごろに最初の警察官が交番に到着し、信一さんが殺害されるまでの11分間、現場保存や付近住民に口頭で警戒を呼びかけていたとしています。

しかし、警察のこうした主張について清水弁護士は、現場の警察官と指示を出す通信指令課の認識が甘かったと指摘。警察の初動対応が適切にできていれば、信一さんは殺されずに済んだ可能性があると清水弁護士は主張します。

清水勉 弁護士:
「事実関係は、もっと具体的にその個々の警察官の動き方、今の段階では何とも言えませんけど、通信指令課なり現場なりが、どういう考え方で動いたのかっていうのは、より明らかにしたいです」

【2022年5月】
事件から4年。遺族にとって、先の見えない時間が続いています。

夫を亡くした中村さん:
「変わりませんね、やっぱり。さみしいですし、思い出したら悲しいですね、もちろん。泣くこともありますけど。やっぱり、少しでも以前の生活に近づくようにね。がんばっていかなきゃって感じですかね」