22日公示された参議院選挙。さまざまな視点からこの選挙の意味を考えます。
 23日は、今年に入って環境が大きく変わったロシアとの関係に翻弄される人たちの視点です。

 北方領土・貝殻島の周辺でおよそ60年前から続くコンブ漁。日本とロシアの民間交渉で、出漁する船の数や採る量などの条件を決め、例年、6月1日に始まります。
 しかし、今年はロシアのウクライナ侵攻を受け、日本がロシアに制裁を科した影響で、漁業交渉が停滞。コンブ漁は、3週間遅れの出漁となりました。

 根室のコンブ漁師、菊地正人(きくち・まさと)さんです。コンブ漁を始めて60年。貝殻島周辺での漁を生業にしてきました。

コンブ漁師 菊地正人さん(75)
「7月になれば昆布が硬くなる。今が一番柔らかくておいしい。もし漁ができなかったら別のことを考えなければいけないけど、それも難しい。俺たちは昆布がなければ生活できないから」

 ロシアとの漁業交渉は、日本の200カイリ水域で操業するサケ・マス漁でも政府間の交渉が停滞。出漁は、およそ3週間、ずれ込みました。
 北方四島周辺の海域でスケソウダラやタコなどをとる安全操業についても、ロシアは、政府間の協定の停止を表明。秋以降、操業できるのか、不透明な状況です。

コンブ漁師 菊地正人さん(75)
「みんな大変なんだ。生活に直接結びついているから。俺たちは何とか妥結してもらったから、その中でやれればなと思う」

 ロシアとの関係悪化が漁業者の生活を直撃する中、菊地さんは、長年続けてきた漁業協力の枠組みが維持されるよう望んでいます。

コンブ漁師 菊地正人さん(75)
「例年並みに安全操業の協定を結んでもらって、6月1日から出られるようにしてもらいたい」

 北方領土の元島民も翻弄されています。

多楽島出身 福沢英雄さん
「(ロシアが)ウクライナに侵攻して、この前もテレビを見て、5歳くらいの男の子が『僕、死にたくない』と大粒の涙を流して喚いているのを見たら、ちょうど77年前の自分と重ね合わせざるを得ない」

 歯舞群島・多楽島出身の福沢英雄さん。5歳の時、ソビエト軍の侵攻により家族は島を追われました。
 ふるさとを奪われた福沢さんが望みを託したのが、ビザなし交流でした。
 「北方領土友好館」と名付けた自宅横のプレハブ小屋には、ロシア人との交流の証しが並んでいます。
 今年で、開始から30年がたつビザなし交流。過去2年は、新型コロナの影響で全面中止。さらに今年はウクライナ侵攻に対して日本がロシアに科した制裁への報復として中断されています。

多楽島出身 福沢英雄さん
「せっかく築き上げてきた友好、北方四島に住んでいるロシア人との友好が宙ぶらりんになってしまって、心の整理がつかない」

 ロシアは北方領土の返還をめぐる交渉も一方的に中断。「ふるさと」は遠くなるばかりです。

多楽島出身 福沢英雄さん
「北方領土にもう一度、自由に行きたい。そういう魂の叫びをわかってもらえるような、新しい国会議員が誕生して、私たちの気持ちに加勢して働いてもらいたい」


6月23日(木)「今日ドキッ!」午後6時台