有罪判決を言い渡された瞬間、男の態度は豹変した。証言台の上に足を放り投げ、裁判長から咎められても「イヤ」と応じない。24歳の男が問われているのは、マッチングアプリで出会ったばかりの女性に性的暴行を加えて現金を奪った罪だ。
カラオケのように証言台のマイクを握りしめ「強姦は被害者のでっちあげ」と訴えていた。その一方で、知り合う女性を「セフレや詐欺のコマにする選択肢」と考えていたという被告。初対面の女性を言葉巧みに追い詰めた男の素顔、そして卑劣な手口が法廷で明らかになった。
「帰れると思ってるの」強制性交、50万円奪った罪
2023年9月東京地裁で開かれた初公判。傍聴席はすべて埋まり、若い女性の姿も目立った。無職の土江俊輔被告(24)はマッチングアプリで知り合ったAさん(当時22)に性的暴行を加えて現金50万円を奪った罪や、クラブで知り合ったBさん(当時19)の首を絞めてケガをさせた罪などに問われていた。検察側の立証によると土江被告が問われたAさんに対する強盗・強制性交事件は以下の通り。

・Aさんと大手マッチングアプリで知り合う(2021年10月下旬)
・「終電までに帰す」とAさんを呼び出し渋谷で合流(同年11月上旬)
・「今日帰れると思ってるの」「友達がハチ交前で写真撮った、友達はまだ駅にいるから」「友達呼ぶ前におとなしくしておいたほうがいい」等と脅迫
・渋谷のホテルで強制性交、Aさんは3週間の大ケガ
・性交後にAさんとコンビニに行きATMで50万円を引き出させて奪う
被告:被害者を脅迫して50万円を引き出させたのは事実ですが、性交については合意で、強姦については被害者のでっちあげです。脅迫も性交後にしたことです。
土江被告側は、合意の上で性交後「美容師の開業資金を貸してほしい」と伝えて現金を受け取った、と主張。「恐喝罪の成立にとどまる」と述べた。