原発事故をめぐり、福島県内外のおよそ3800人が東京電力と国を訴えた4つの集団訴訟で、最高裁判所は国の責任を認めませんでした。震災と原発事故から11年。それぞれの原告とともに、大きな節目となった1日を追いました。


17日朝の福島県相馬市。判決を待つ原告が、最高裁へと向かうバスに乗り込みました。


生業訴訟原告団・中島孝団長
「自分の苦しみをはっきり表に出して政府もそれを機敏に(政策に)反映させるような当たり前の正しい社会になってほしいと思う。明るい社会を作るようなそういう判決を期待したい

福島の生業訴訟をはじめ、愛媛、群馬、千葉の4つの裁判所で、東京電力と国に損害賠償を求めてきた原告たち。その一人、阿部一枝さんは、9年間、一度も休まずに、裁判に参加してきました。

生業訴訟原告・阿部一枝さん
「本当に原発事故は地獄の苦しみでしたけれど、皆さんと出会えてこうして同じ気持ちで頑張れてきたことは宝」


また、大内秀夫さんは、裁判の途中で亡くなった仲間の分まで、頑張りたいと話しました。

生業訴訟原告・大内秀夫さん
「戦いを続けた仲間もきょうの判決勝ってくれたら彼も喜んでくれると思う」

最高裁の前は、判決の時間が近づくと、原告や関係者が続々と集まり、大きな節目となる判決を前に、それぞれの思いを訴えました。


愛媛訴訟原告・渡部寛志さん
「いまだに国は責任を認めていません。責任を認めていないということは今回の原発事故は東電と地域住民の問題で終わらせようということ。そんなことはあってはならないし、国民全体の問題じゃないかと私は思います」

こう訴えたのは、愛媛訴訟の原告、渡部寛志さんです。渡部さんは、原発事故のあと、愛媛と南相馬市を拠点に農業を営んできましたが、避難生活で家族がバラバラになりました。入廷の際は、先頭を歩き、2人の娘とともに、最高裁へと向かいました。


主な争点は、国が東電に津波対策をさせていれば、事故を防げたかどうか。そして、その根拠となる「長期評価」の信頼性です。司法が下した最終判断は……。

生業訴訟弁護団・馬奈木厳太郎弁護士
「判決は国の責任を認めないと。まったく受け入れられない内容の結論でした」

最高裁は、国の責任を認めませんでした。

この判決に、原告たちは…


生業訴訟原告・阿部一枝さん
「私たちは本当に原発事故から地獄のような生活をしてきた。そんな苦しみをこの10年間味わってきたのにここ(最高裁)に入っている人たちはわかるはずがない」


福島駅前では、号外が配布されました。福島県民からは…。

福島市在住・40代「ありえないと思うなぜ国の責任を認めないのかびっくりする」

福島市在住・10代「国は責任を認めないということで、本当に福島の方を思うんだったらもっと早く結果を出すのが責任だと思う」


最高裁・第二小法廷の菅野博之裁判長は、福島第一原発に押し寄せた津波は長期評価で想定されたものよりも規模が大きかったなどと指摘。

その上で「仮に国が規制権限を行使して原発事故を防ぐための措置を東電に義務付けたとしても事故が発生した可能性が高い」と結論づけました。大きな争点となっていた津波の予見可能性については言及しませんでした。


馬奈木弁護士
「この判決を福島のみなさんの前で本当に読み上げることができるのか。第二小法廷はこの点正面から向き合わなかった言ってしまえば肩透かし判決です」


中島団長
「きょうの判決はこれでもかというくらい無責任な判決。きょうの判決で日本はまた原発事故を必ず繰り返すそういう判決を最高裁は出した」

渡部さん
「思いもしない、考えたくもない判決が出てしまって、非常にがっかりしていますしこのあと何をすればいいか何をどう考えればいいか頭が混乱している」

高裁までの判決で、すでに東電の賠償は確定していますが、国はこの賠償を負担しないことが決まりました。