2人は独自に目撃証言を集めるなどの調査を行いながら、検察に「ひき逃げ」の罪で起訴するよう求めてきたのです。

これまでの取材から浮かび上がる事故当時の池田被告の行動です。

樹生さんをひいたことに気付いた池田被告は、車を止めると、横断歩道付近に向かいます。

周辺でいったん樹生さんを探しますが、発生からおよそ3分後には車に戻ったとみられます。

池田被告はその後、コンビニに向かい、樹生さんのもとに来たときには事故発生からおよそ10分が経っていたと見られます。

交通犯罪に詳しい専門家は今回の裁判の争点をこう指摘します。


(松尾誠紀教授)
「被告人は一度現場に戻ったんですが、被害者の発見に至らない段階で現場を離れているということは大きなポイント、被告人ができる範囲のことを行ったという判断ができれば無罪になるという可能性はありうるかと思いますが法律上は被害者をはねたことを認識しておきながら被害者発見に至らないまま現場を離れることを許容するものではない」

(母・真理さん)
「暖かくて私たちが来てから開花してくれたんです、樹生が20歳になる年に咲いたらいいなと思って」

4月。
樹生さんの面影を重ねて植えたコブシが、花を咲かせました。

2人は事故の後、この場所に通って手入れを続けています。

(父・善光さん)
「唯一、樹生と裁判のこととか事件のこととか少し忘れて一緒にいるような感じで安らげる時間だった」

作業をしているときは樹生さんを育てているような気持ちになるといいます。


(父・善光さん)
「まだ起訴された段階だけの話なのでしっかり見守ってほしいと」


(母・真理さん)
「有罪判決をきちんといただくことでのちの被害者の生命が救われるような息子の奪われた生命がつながっていくことがあれば、少しは樹生の悔しさというのも次に生かされる」


改めて今回の裁判の争点を整理します。
事故後の池田被告の行動が「ひき逃げ」にあたるのかどうかが問われます。

池田被告は事故の後、いったん現場に向かいますが樹生さんをすぐに発見できず、飲酒を隠すためにコンビニに向かい口臭防止剤を買って飲んでいます。

これまでの警察や検察の捜査ではこの行動が「現場から離れたとまでは言えない」としてひき逃げでの立件は見送られたと見られます。

しかし、道路交通法の条文では
「事故があったときは直ちに負傷者を救護し必要な措置を講じなければならない」となっています。

「ひき逃げ」というと現場から逃走したかどうかと考えがちですがすぐに必要な救護や通報をしなければならないと定められています。

両親はすぐに通報をしていればもしかしたら命だけは助かったかもしれないと考えています。

15日の初公判では池田被告が罪を認めるのか、争う姿勢を示すのかに注目が集まります。


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