2026年1月24、25日の2日間にわたり、福岡市天神の新たなランドマーク「ONE FUKUOKA BLD.(通称ワンビル)」で、女性のウェルビーイングを考えるイベント『Feel!Femtech&care 2026』が開催された。

イベントには数多くの企業がブースを出展

月経、妊娠、出産、更年期など女性特有の課題を解決する「フェムテック/フェムケア」(*1)を軸に、からだや環境に優しい製品やサービスを紹介。心身のケア、日々の暮らし、未来への選択に「心地よさ」や「自分らしさ」が大切であることを伝えるなど、女性のウェルネスライフをサポートするイベントとなった。

(*1)フェムテック(Femtech)とは、Female(女性)とTechnology(技術)を組み合わせた造語。AIやIoT、アプリケーションなどの先端技術を活用し、月経・妊娠・出産・更年期など女性特有の健康課題を解決するための製品やサービスを指す。また、テクノロジーに限らず、女性の健康やライフステージに特化した製品・サービス全般を「フェムケア」と呼ぶ。

フェムテックが切り拓く、女性が心地よく過ごせる社会

フェムテック/フェムケアの国内市場は近年急速に拡大し、2023年には約750億円規模に達した。かつてタブー視されていた月経や更年期の話題をオープンにすることは、ジェンダーバイアス解消や、男女平等の実現、SDGsの達成に大きく貢献すると期待されている。

また、女性の健康課題への対応は、労働環境の改善や生産性の向上に直結するという考えも広がっている。女性特有の健康課題による経済損失は、年間約3.4兆円に上ると試算されており、いまや個人の問題ではなく社会全体で向き合うべき課題として注目されているのだ。

『Feel!Femtech&care 2026』メインセッションのゲストは、シャボン玉石けん株式会社の代表取締役社長・森田隼人さんと、実体験をもとにさまざまな商品開発や情報発信をプロデュースするタレントで自称「ワクワククリエイター」のバービーさん。2人は『選んでいこう!もの・言葉・仕事・人生』をテーマにトークを展開。

シャボン玉石けんの無添加石けん誕生秘話から始まり、2人は「何を大切にしてきたか」、そして自らの意思で人生の選択をする大切さについて語った。

シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長 森田隼人さんと、タレントのバービーさんによるトークセッション


信念に基づく大英断と、17年間の低迷期を支えた思い

創業116年目を迎えるシャボン玉石けん株式会社(以下、同社)は、今では人にも環境にも優しい無添加石けんのメーカーとして広く知られているが、昭和40年代半ばまでは、合成洗剤の製造・販売が主事業だった。

1971年、当時の国鉄(現JR)から、「機関車の洗浄に使っていた合成洗剤はさびが早くでるため無添加の粉石けんが欲しい」と依頼があり、無添加の石けんを試作。当時社長だった森田光德さんがその試作品を自宅で使ってみると、長年悩んできた原因不明の湿疹がキレイになったことから、一大決心し、1974年に、人にも環境にも優しい 無添加(*2)石けんの製造・販売に切り替えた。

(*2)無添加:香料・着色料・酸化防止剤・合成界面活性剤不使用

しかし、当時は、安価な合成洗剤が広く普及し、製品は見向きもされない。売上高は100分の1に減り、100名いた従業員も5名に減った。以後17年間赤字が続いたが、それでも光德さんは「健康な体ときれいな水を守る。」という理念を貫いた。

安心・安全に徹底的にこだわった「無添加石けん」


転機となったのは、自著『自然流「せっけん」読本』(農山漁村文化協会、1991年)の出版だった。湾岸戦争を機に環境問題への関心が高まり、生活日用品や食品の「安全性」も注目され始めた。消費者の志向にも変化が表れ、ようやく光德さんのメッセージの意味を理解した消費者が同社の製品に注目するようになり、業績が少しずつ回復していった。

シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長 森田隼人さん
「くじけそうになっても踏ん張れたのは、『もうシャボン玉石けんがあるから安心です』といった、お客さまからの温かい励ましや感謝の手紙だったと、父が言っていました。重要なのは、モノづくりへのこだわりだけではなく、その意味と価値を的確に伝え、消費者の共感を得ること。そうでなければ世の中には広がらない。安全なものを使えば良いという以上に、安全なものを“選ぶ目を持つ人”が増えることが大切です」

シャボン玉石けん株式会社 代表取締役社長 森田隼人さん

もっと知りたいシャボン玉石けん

納得のいくものを自ら選んで、自分らしく生きる

バービーさんは、以前はお笑い芸人として、とにかく目立つメイクや装いを優先し、「芸人はこうあるべき」という考えにもとらわれていたと語る。そして、本当に自分がしたいこと、求めることにフォーカスするようになったのは、30代で番組中に大ケガをしたのがきっかけだったと振り返る。

バービーさん
「体を張った仕事はもうできないと悟ると同時に、自分の中の『芸人はこうあるべき』というとらわれから一気に解放されました。そんな時、『ラジオで本音トークをしてみませんか』とオファーがあり、初めて下着づくりや町おこしの話、お笑いへのモヤモヤした気持ちを本音で話したんです。それを機に、下着のプロデュースやエッセイの執筆など新しいチャンスが巡ってきました」

なかなか自分に合う下着が見つからず、自分で作り始めたバービーさんだが、そこで気づいたことも多かったと言う。

「ワクワククリエイター」として、商品開発、情報発信を自身でプロデュースするバービーさん


バービーさん
「既製品に身体を合わせようとすると違和感があるけれど、自分で作ればいろんなおしゃれが楽しめる。つまり“枠”に自分を合わせる必要はないと気づきました。今までに得た多くの気づきや学びが、納得のいくものを自ら選び取ることで『自分らしく生きる』という、いま私が大切にしている“ワクワクする生き方”につながっています」

森田社長
「バービーさんがおっしゃった、納得のいくものを自ら選び取ることで『自分らしく生きる』という言葉にはとても共感します。52年前の父の選択も、きっとそういう想いだったのだろうと。私たちは、『“健康な体ときれいな水を守る。”という理念に反することはしない』という価値基準を明確化しています。そして、『シャボン玉を好んで、シャボン玉を信じて、シャボン玉を楽しむ』という意味の『好信楽』という言葉を社是に掲げていて、この精神をすべての事業活動を通じて実践するのが、私たちのスタンスです」

ライフステージごとの「ゆらぎ」への適切な選択

森田社長とバービーさんは、女性が抱える具体的な悩みについて、さらに対話を重ねた。

バービーさん
「娘を妊娠していることがわかって間もない頃、私もそれまで気にも留めなかった香りが気になることもありましたね。中には『歯磨き』にまで違和感を感じる人もいると聞いたことがあります」

森田社長
「つわりの時期は様々な変化が起きますよね。肉体的には、肌が敏感になったり乾燥したり。また、化粧品や日用品に含まれる人工的な香料の『におい』を苦手に感じるようになる人も少なくありません。更に、歯みがき粉のぶくぶくとした泡立ちが気持ち悪くて十分に歯を磨けないという方も多いです。そんな時は、泡立ちが控えめで成分も優しい『せっけんハミガキ』がおすすめです。お口のケアがつらい時期のストレス軽減にもつながります」

バービーさん
「へぇ!歯磨き粉1つでも、変わってくるのですね。我が家には小さな子がいるので、ベースが石けんの商品をいくつか使っていて、肌の健やかさも実感します。」

2人のトーク内容に、来場者も高い関心を示す

知っておきたい「香り」が生み出す体調不良のこと

人それぞれのQOL(生活の質)

月経、妊娠出産、更年期の症状やストレスなど、女性特有の悩みには個人差がある。生理痛やデリケートゾーンの悩み(におい、ムレ、不快感)、更年期の憂鬱といった「人には言えない」「我慢するのが当たり前」と思いがちな既成概念が、ストレスをさらに高めてしまう。

森田社長
「デリケートゾーンの皮膚は、まぶたより薄いと言われるほど繊細。だからこそ、洗顔と同じように『やさしく、安心できる成分の洗浄剤』を使うことが大切ですね」

バービーさん
「人には言えない個人的な悩みも、自分に合ったケアを上手に取り入れながらQOLを向上させることができたら嬉しいですね」

森田社長
「シャボン玉石けんの『無添加』は、香料、着色料、酸化防止剤、合成界面活性剤を使用していないという意味で、極めてシンプルです。『ケン化法』でじっくり時間をかけて作ることで、天然の保湿成分が石けんに含まれ、洗い上がりがしっとりとします。肌には本来、自ら潤うバリア機能が備わっているので、私たちには余計なものは足さず、『引き算』の視点で人間本来の力を引き出す。そんなモノづくりを大切にしています」

バービーさん
「フェムケアと聞いても、何から始めたらいいのか分からないという人も多いと思いますが、毎日使う石けんやハミガキを『安心できるもの』に変えるだけで、自分と向き合い、自分を大切にしている実感につながるんですね」

石けん以外にも、数多くの無添加商品を展開している

興味があれば種を蒔き、ワクワク楽しく生きていく

数えきれないほどのトライ&エラーをくり返し、自分に合うものを見つけてきたバービーさん。失敗しても「種を蒔いた」ととらえて次に進むうち、後から注目されるようになったことも少なくないそうだ。

バービーさん
「コレだ!と感じた思いを大切にして自分に正直に行動し、本音で語るうち、いつの間にか仲間が増えていきました。共感する人の言葉や考えを引用したり、紹介したり、そんなゆるやかな発信から始めれば大丈夫です」

森田社長
「体感を大切にして実行する。バービーさんのメッセージは女性の皆さんの背中を押してくれますね」

熱のこもった、バービーさんのトーク


バービーさんが下着づくりを始めた頃には無かった「ボディポジティブ(*3)」や「セルフラブ(*4)」という言葉も、今では当たり前に認知されるようになった。

(*3)ボディポジティブ(Body Positive)とは、社会や大衆文化が理想的な体型やサイズ、外見をどのように見ているかにかかわらず、すべての人がポジティブなボディイメージを持つに値するという主張のこと。

(*4)セルフラブ(self-love)とは、「自己愛」「自分を愛すること」。ありのままの自分を認め、自分らしく充実した人生を送るための考え方。

バービーさん
「女性はつい自分のことを後回しにしがちです。でも『あなたがハッピーなのが、まわりもハッピー』ということを忘れないで。まずは自分のハッピーを大切にしてください」

森田社長
「その感覚に従っていくというのは素晴らしいですね!バービーさんの『ワクワククリエイター』と同じように、私たちも『日々を楽しむ』という発想から『洗おう 笑おう』というキャッチフレーズを掲げ、肌の悩みがある方や、赤ちゃんから大人まで、無添加石けんで洗うことを通じて笑顔を届け、毎日の暮らしを豊かにすることを目指しています。そして、当社では従業員の4割を女性が占めており、女性がもっと楽しくイキイキ働ける職場づくりを進めています」

『選ぶことは、生きること』。膨大な情報や「こうあるべき」という既成概念にとらわれて、自分をがんじがらめにしたり、後回しにしたり、小さな我慢を積み重ねるのではなく、自分の「好き」を見つめ直し、自分にとって「心地よい」選択をしてハッピーな人生を送ってほしい。それが、今回のイベントの一番大切なメッセージとなった。