イタリアの日常生活に溶け込むパルミジャーノ・レッジャーノは、中世から受け継がれる伝統的な製法で作られ「チーズの王様」とも称される。2025年12月11日、このパルミジャーノ・レッジャーノにまつわるトークショーが、東京・有明テニスの森公園の「PJF ピックルボールチャンピオンシップス2025 in Japan」会場で行われた。

アメリカ発祥のピックルボールはテニスとバドミントン、卓球の要素を組み合わせた話題のスポーツ。直近3年でアメリカでの競技人口は3倍以上に増加。日本でも人気を伸ばし、2024年にピックルボール日本連盟が発足。今回の国際大会は2年目となり、2025年12月10日から4日間にわたり開催され、世界18か国から約1300名の選手が参加した。


約1000年続くパルミジャーノ・レッジャーノの伝統と味とは?

パルミジャーノ・レッジャーノのトークショーが行われたのは大会2日目、クラブハウスの特設コーナーにて。開催時間が近づくと、客席にはピックルボール選手やファン、応援に来た来場者などが続々と集まってきた。

トークを展開したのは、モデルのSHIHOさんと元バドミントン選手の潮田玲子さんの二人。デビュー以来カリスマ的な人気を誇るSHIHOさんと、元オリンピアンの潮田さんの共通項は「ナチュラルビューティー」。熟成食品で、天然の原料にこだわるパルミジャーノ・レッジャーノが「大好き。だから今日は楽しみにしていた」というSHIHOさん。一方の潮田さんは「アスリートとチーズには深い関係がある」という。

パルミジャーノ・レッジャーノは、イタリア北部のパルマ、レッジョ・エミリア、モデナ、マントヴァのポー川右岸、およびボローニャのレノ川左岸5つの県からなる指定産地で伝統的な製法によって作られたものだけがその名前を冠することができる特別なチーズ。

パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会は、その全生産者が所属する非営利団体だ。模倣品からブランドを保護し、世界的な理解促進に努めている。一連の活動の中で、今回はパルミジャーノ・レッジャーノのヘルシーさやナチュラルさにフォーカスして紹介する機会として、多くの選手やスポーツ愛好家が集まるピックルボール国際大会とコラボレーションすることになった。

2人の登場に合わせて、参加者の手元には2種類のパルミジャーノ・レッジャーノが用意された。1つはパルミジャーノ・レッジャーノの最低熟成期間である12カ月間、もう1つは24カ月間熟成させたものだ。「まずは皆さん、一緒に食べませんか」と潮田さん。熟成期間が違うチーズを食べ比べながら、くつろいだ雰囲気でトークショーがスタートした。

来場者と一緒にパルミジャーノ・レッジャーノを試食するSHIHOさん(左)と潮田玲子さん(右)。


2人が最初に口にしたのは、24カ月間熟成させたもの。「12カ月より色が濃くて、香りも高い」という潮田さんに対し、SHIHOさんはその濃厚な味に「一気に体が目覚めた感じ。体温が0.5℃くらい上がった気がする」と満面の笑。

12カ月熟成の方は「食感がしっとりして味も軽やか。子どもが喜びそう」と潮田さん。そして「熟成の違いでこんなに味が変わるんだ」と2人は声を合わせる。

試食で提供されたパルミジャーノ・レッジャーノ。


ここで司会者から、パルミジャーノ・レッジャーノの定義が詳しく紹介された。

「パルミジャーノ・レッジャーノは、北イタリアのごく一部地域でのみ生産されているチーズで、原料は指定地域の酪農家から集めた生乳と塩、レンネットという凝乳酵素のみです。生乳は指定地域で育った乳牛から採ったものを使い、飼料となる干草なども限定するなど、厳格な基準のもとでつくられます。添加物や保存料は一切使用していません」

自然な製造方法で凝固したミルクは、ホイールと呼ぶ塊にして熟成庫に運ばれる。熟成期間は最低12カ月で、長いものでは48カ月以上熟成させるものもあるという。ホイールの直径は約40cmで、重さは約40kg。熟成後は検査員が手作業でチーズの組織を分析し、基準をクリアしたものだけがパルミジャーノ・レッジャーノを証明する焼印を押され、市場への出荷が許される。

製造から熟成、包装、粉砕に至るまですべての工程が指定地域内で行われるパルミジャーノ・レッジャーノ。


「天然の原料だけを使い、添加物などは入れずにつくられている。だから、さっき体が反応したのかも。自然のパワーをもらった感じでした」とSHIHOさん。「パルミジャーノ・レッジャーノという文字が、選ばれたチーズの印なんですね」と潮田さん。

パルミジャーノ・レッジャーノの起源はおよそ1000年前、中世に遡る。修道院で考案されたチーズがパルミジャーノ・レッジャーノの始まりといわれ、時代の変化に合わせて製造技術が向上した。現在の生産量は年間約16万3000トンで、そのうち約半分が海外へ輸出されている。

もっと知りたい「パルミジャーノ・レッジャーノ」


パルミジャーノ・レッジャーノはアスリート食にもぴったり!

話は2人の食生活にも及んだ。SHIHOさんは、普段お肉を食べないという。「でも、タンパク質をしっかり摂るために、卵と豆、チーズ、魚は食べるようにしていて。栄養バランスは考えるけれど、やはり美味しさは大事。だからチーズは熟成したものを使います。それだけで、料理の質がぐっと上がりますから」


一方の潮田さんは、アスリート時代を回想する。「アスリートは食べなくてはいけないのに、疲れて食欲が出ないことがあるんです。そんなとき、旨み成分をちょっと口に含むと、脳が食べる気になってくれます。パルミジャーノ・レッジャーノを噛むとジャリジャリする塊があるけれど、まさにそのアミノ酸なんです。チーズは高タンパクでカルシウムも豊富。アスリート食として成分が優れているだけでなく、そんな食欲スイッチの効果もあるんです」


パルミジャーノ・レッジャーノが、人と人をつなぐ。

今回、ピックルボールの試合会場には、パルミジャーノ・レッジャーノがテーマのキッチンカーも登場。イタリアのトスカーナ地方に伝わる「リボリータ」というスープに、パルミジャーノ・レッジャーノをかけて来場者に提供した。

白インゲン豆と野菜をぐつぐつ煮込み、たっぷりのパルミジャーノ・レッジャーノをかけたリボリータ。


そのリボリータがトークショーの会場でも振る舞われた。SHIHOさんと潮田さんも温かいリボリータを味わいながら、普段パルミジャーノ・レッジャーノをどう食べているかという話題に。「お友達が集まったときは、単品でチーズそのものの個性を楽しむことが多いかな」とSHIHOさん。さらに「このリボリータみたいにスープにかけたり、パスタの味付けに使ったりもしますね」とも。

潮田さんは「パルミジャーノ・レッジャーノを削って、サラダにかけて食べるのがすごく好き。サラダの味が格段に変わりますよ」と言う。イタリアではそのまま切って前菜やワインのお供に、そして料理の味の決め手として幅広く使われる。だから人々にとって身近で、家族や友人との団らんを象徴する存在なのだという。


トークショー終了後、2人はピックルボールのコートに向かい、プロと楽しく打ち合う体験も。キッチンカーの前には、リボリータを求める人で列ができていた。パルミジャーノ・レッジャーノについて、楽しく知ることができたひととき。そのチーズがたっぷりとかかったスープを味わう人々は、誰もが笑顔になっていた。

ピックルボール会場に登場した特別ゲスト、ゴジラと一緒に記念撮影。
パルミジャーノ・レッジャーノの美味しさが、多くの選手や来場者を笑顔にした1日となった。


【パルミジャーノ・レッジャーノ】
世界で最も古いチーズのひとつ。起源は約1000年前、中世の修道院と伝えられている。生産地はイタリア国内の約1万平方キロメートルに限定されており、パルマ県、レッジョ・エミリア県、モデナ県、マントヴァ県のポー川右岸、ボローニャ県のレノ川左岸が含まれる。生産過程は原産地名称保護(PDO)の厳格な規定によって管理され、品質審査に合格したものだけがパルミジャーノ・レッジャーノの名を冠することができる。

【パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会】
1934年に設立。全291の生産者が加盟する団体で、PDOに則りチーズの品質審査を行う。パルミジャーノ・レッジャーノのブランド価値を高め、世界的な理解促進に努めている。

【ピックルボール日本連盟】
2024年に設立。同年12月、有明テニスの森公園にて初の国際大会を開催。国内でのピックルボールの普及・発展のために活動している。

※ 本記事は欧州連合規則 第1144/2014号に基づく、EU共同出資による農産物販促事業プログラム101194314 ENSO-EUの一環です。

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