安倍晋三元総理を銃撃・殺害した罪に問われている山上徹也被告の裁判。12月2日(火)の第12回公判での被告人質問で、山上被告は安倍元総理を狙撃した瞬間について、「自転車とか台車の人が横断して、警備の目がそれに逸れた。いまかと思い、車道に入った」などと述べました。
▽「警備員が私が(行ってほしいと)考えていた方向に移動した。これも偶然とは思えない何かと思った」
前回11月25日(火)の公判での被告人質問では、安倍元総理が旧統一教会の関連団体へ寄せたビデオメッセージについて、山上被告が「旧統一教会が問題のない団体と認識されると思った」「絶望感と危機感を抱いた」という旨を供述しました。
12月2日(火)の被告人質問3日目。山上被告は安倍元総理を狙撃した瞬間について、以下のように語りました。
(12月2日の被告人質問)
山上徹也被告「(安倍元総理は大和西大寺駅前に)本当に来たんだなと思いました」
検察官「どういうタイミングで近づいた?」
被告「銃撃するなら、後方から撃てば、射線が通るなと思っていた。後方が空いていた、撃つならこの方向だと。真後ろに警備員がいたのでどうしたものか、このまま演説が終わってしまうのではないか(と思った)。変わりに向こうから、横とか前方とかがいいのかなと(考えていた)。そうしたら警備員が私が(行ってほしいと)考えていた方向に移動した。これも偶然とは思えない何かと思った。自転車とか台車の人が横断して、警備の目がそれに逸れた。いまかと思い、車道に入った」
検察官「どこを狙いましたか?」
被告「安倍元首相の上半身だったと思います」
検察官「1発目で被害者にあたったと思いましたか?」
被告「自分の銃で撃たれた人が、どういう挙動か分からなかったので、当たってもすぐに倒れるか分からなかった」
検察官「周囲はどういう反応でしたか?」
被告「撃つ前と変わりないように思えた。それが意外というか、非常に大きな銃声だったので、奇妙に思った」
検察官「安倍元総理は振り返りましたか?」
被告「振り返ったと思った」
検察官「2発目も狙ったのは同じですか。
被告「上半身でした」
検察官「確実に命中させるためですか?」
被告「特段、人を狙う場合はそうなる、そういうものと思う」
検察官「2回目の発射直後、現行犯逮捕した警察官の証言では『当たったか?』と(被告が言葉を)発したと。その言葉はおぼえていますか?」
被告「そんなような記憶がかすかにあります」
検察官「なぜそんな言葉を発した?」
被告「どんな状況か分からずに取り押さえられた。状況の確認だと思う」
検察官「1射目と2射目、どんな気持ちだった?」
被告「射撃の何かの本で、射撃の心得はなるべく無心で撃つことと。なるべく何も考えないようにしていた」
▽証人出廷した母親“子どもたちの進学より、献金が大事だと考えていた”
山上徹也被告は2022年7月、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で、参院選候補の応援演説を行っていた安倍晋三元総理(当時67)を、手製のパイプ銃で銃撃し殺害したとして、殺人などの罪に問われています。
10月28日の初公判で山上被告は、「すべて事実です。私がしたことに間違いありません」と起訴状で指摘された行為をすべて認めた一方、「法律上どうなるかは弁護人の主張に委ねます」と述べました。
弁護人は、武器等製造法違反など一部の罪について、罪の成立を争う構えを示しています。
捜査段階で山上被告は、「母が旧統一教会に多額の献金をし、困窮した。難病の兄が十分な治療を受けられず、苦しんで自殺した。私も大学に行くことができなかった」という旨の供述を展開。
これまでの公判には、母親も証人として出廷し、“子どもたちの進学よりも、献金することが大事だと考えていた”という旨を証言するなど、自らの信仰や巨額の献金について語っていました。
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