空の玄関口・福岡空港と、陸の玄関口・JR博多駅のちょうど中間に位置する、福岡市博多区東光。そこに、約3,000㎡(約900坪)の分割可能な大ホール2室と、用途に合わせて自由にレイアウトできる約40~200㎡(約12~60坪)の会議室16室を有する、西日本有数のコンベンション施設があるのをご存じだろうか。

九州の大手私鉄・西日本鉄道(通称・西鉄)を母体とする『博多国際展示場&カンファレンスセンター』は、2021年に開業した、まだ5年目の新しい施設だ。運営は、コンベンションセンターやホール運営事業で国内有数の実績を持つパイオニア企業・株式会社コンベンションリンケージが担っている。最新スペックの設備による機能性はもちろん、民間施設ならではの柔軟性と、専門的な知見を存分に生かした上質なホスピタリティを通じて、学会や展示会、試験など多種多様な催事に対応している。
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MICE都市・福岡の新しい“顔”
福岡には、古くからアジアを中心とした大陸との交流の歴史がある。国際交流の歴史は2,000有余年にわたり、その中で街は発展してきた。第3次産業が約9割と特殊な産業構造の福岡市は現在、さらなる都市成長をめざして、交流人口増加による経済活性化に取り組んでいる。
その施策の一つが、観光・MICE(*1)事業である。2018年、福岡市は基本計画に基づいて条例を制定し、「観光・MICE推進プログラム」を策定。官民一体となって、観光・MICE事業を推進している。
(*1)MICEとは、会議(Meeting)、企業が業績向上を目的として行う報奨旅行や研修旅行(Incentive Travel)、国際会議 (Convention)、展示会・イベント(Exhibition/Event)の頭文字をとった造語。また、こうしたビジネスイベントの総称。
MICEなど各種イベントの受け皿となる公的施設・民間施設の多くは、主に福岡市北部のベイエリアを中心に広がっている。しかし、国内外からの福岡への注目度が高まるにつれ、会場の確保が年々難しくなってきた。
また、公的施設はおおむね5,000㎡(約1,500坪)、民間施設の多くは1000㎡(約300坪)以下のスペースで、その間を埋める規模の施設はこれまで福岡市圏には無かった。
こうした背景のもと、多様化するニーズに柔軟に応える受け皿としてオープンしたのが、『博多国際展示場&カンファレンスセンター』だ。詳細について、島村東一郎館長に話を聞いた。
博多国際展示場&カンファレンスセンター 島村東一郎館長
「ここにはかつて、西鉄運輸のターミナルがありました。福岡空港から車で約8分、JR博多駅からは車で約3分、徒歩約13分とアクセスは抜群です。しかし、博多駅から福岡空港につながる通称・空港通り沿いにあるものの、ちょうど福岡都市高速の高架沿いのため建物があまり目立たない。また、コロナ禍の開業でオープニングイベントなど大々的な告知を自粛したこともあり、ようやく知名度アップに向けた本格的な広報活動に力を入れ始めたところです」


とは言え、これだけの好立地に加えて、レイアウト・アレンジが自由自在でダイナミックな空間を演出できる多目的ホールは国内でも珍しい。同館はすでに、各種試験会場、エンタメ系イベント、就活イベント、講演会やシンポジウム、アパレルの展示会などさまざまな用途で利用され、新規利用は着実に増えている。
リピート率が非常に高いのも同館の特長で、売上の7割が利用2回目以上という実績を見ても、有用性の高さがよくわかる。

島村東一郎館長
「開業前から、運用を担当する株式会社コンベンションリンケージも加わり、利用者や来場者目線で建設を進めました。この館のアクセスと“使い勝手の良さ”は、国内有数の特筆すべきレベルだと自信を持って言えます。今後、よりご利用いただく機会が増えるポテンシャルがあると確信しています」
『博多国際展示場&カンファレンスセンター』のリピート率が高い理由
利用者・来場者目線の利便性
4階建て同館の、各フロアを紹介しよう。

1階は、駐車場と落ち着いた色調のエントランスホール。
2階は、約40~200㎡(約12~60坪)の会議室16室と、総合受付や展示が可能なホワイエ(*2)から成る。
(*2)ホワイエとは、劇場やホール、ホテルなどの建物で、来客が待機・休憩・歓談をするための広い空間のこと。主にロビーや待合室と同じ意味で使われることが多い。

3階は高さ5mの有柱空間で、最大6分割が可能な約3,000㎡(約900坪)のホールがある。ホールは約420㎡(約120坪)台、約800㎡(約240坪)台、約1,300㎡(約400坪)の分割利用が可能だ。

4階は高さ6mの無柱空間で、「約2,000㎡(約600坪)と約1,000㎡(約300坪)」の最大2分割が可能な、約3,000㎡(約900坪)のホールが広がっている。

特筆すべきは、3・4階の4t車が積載可能な大型カーリフト(積載荷重8,400kg)で、イベント時の搬入・搬出が非常にしやすく、4階会場には直接車の乗り入れができること(最大展示台数 4t車16台)。同館にはこのように、利用者の目的に応じた規模の空間と設備が揃っており、BtoB(企業間)やBtoC(対消費者)向けの多彩なニーズに応えることができる。

島村東一郎館長
「2024年9月から10月にかけて約1ヶ月間、全国5都市で開催された、人気アニメ『ハイキュー!!』のハイキュー!!アニメーション10周年展・福岡会場として利用され、連日多くの来場者で盛況でした。備品や什器はもちろん、購入グッズなど搬入物が非常に多かったので、カーリフトがお役に立てたようです」
母体が西日本鉄道という点で、同館ならではの利用メリットも多いという。
島村東一郎館長
「ご希望があれば、福岡空港やJR博多駅からシャトルバス(*3)を運行できますし、西鉄バス・西鉄電車・各駅の交通広告も特別料金で提供しています。これからも、西鉄グループのスケールメリットを生かしたさまざまなサービスを考えていきたいですね」
(*3)シャトルバス手配の手数料は無料。バス稼働による経費は実費。

再生エネルギーを存分に導入
同館は、今や不可欠な事業要素である脱炭素化に向けた仕様も完備している。
西鉄グループとしては初となるオンサイトPPA事業(*4)で、同館の屋根上に設置した442枚の太陽光パネルが、2024年4月より稼働している。発電した電気は、グループ内の西鉄自然電力合同会社を通じて同館が購入して利用する。年間発電量で見込んでいる18万kWは、同館の消費電力量の約2割にあたる。
(*4)PPA事業とは、電力購入契約(Power Purchase Agreement)の略。太陽光発電設備の事業者が需要家の敷地に発電設備を設置し、発電した電力を需要家に供給する仕組み。需要家は初期費用なしで再生可能エネルギーを利用でき、使用した電力量に応じて料金を支払う。初期費用とメンテナンスが不要で、CO2削減はもちろん、電気料金の削減も可能な、第三者保有モデル(TPO)と呼ばれている。

また、非化石証書(*5)を用いた実質的な再生可能エネルギー由来の電気も導入し、カーボンフリーに関するイベントなど、環境意識の高い利用者や来場者のニーズに応える設備を整えている。同館は、環境面でも持続可能性の高い、次世代型施設と言えるだろう。
(*5)非化石証書とは、非化石エネルギーから作られ、二酸化炭素を排出しない電気という「環境価値」を示す証書。自社で使用する電気が、化石燃料以外の方法で発電された環境にやさしい電気であると証明できる。
上質な満足を実感してもらう
同館のスペックを十二分に発揮した利用例は、枚挙にいとまがない。
1週間にわたって開催された3GPP(移動通信システムの仕様の規格策定を行う国際的な標準化団体)の国際会議では、一堂に会した1,500名を超える参加者が同時にネット接続をしたが、アクシデントは一切なく安定的なネットワーク環境を提供できた。

島村東一郎館長
「次世代の国際通信規格が当館で協議され、実際にその環境を無事に提供できたことは、非常に感慨深かったです。最近では9月末の2日間、福岡ソフトバンクホークスの、ドーム以外では初となるパブリックビューイングを当館で実施しました。2,000名を超えるファンの皆さんに、リーグ優勝の瞬間の感動をここで体感していただけました」
自動車、電気機器、医療機器、食品、大型遊具、衣料など、多分野のメーカーが展示会を開催している。発表前の新車を関係者に向けて披露する説明会では、カーリフトで車を積んだトラックごと搬入を行い、展示まで外部の目に一切触れない、秘匿性を確保して、高く評価された。

島村東一郎館長
「リピートが最も多いのは、国家試験など試験会場としての利用です。防音性の高さや、人数に応じて柔軟にレイアウトを変更できる自由度が評価されています」
一方で、カードゲーム大会やアイドルのファンミーティング、アニメ関連イベントなど、にぎやかなイベント利用も多い。また、セミナーや講演会の単独開催のみならず、ホールを分割して展示会や商談会と併催するなど、多様なレイアウトを生かした複合的イベントが開催しやすい点も、同館の魅力と言える。
『博多国際展示場&カンファレンスセンター』の施設利用例はこちら
仕様面の使い勝手の良さとともに、西鉄グループならでは質の高いサービスとワンストップの対応力、そして、運営委託会社が長年培ってきた知見とホスピタリティが、利用者や来場者にとっての満足につながっている。
同館と同レベルの仕様と規模を有する、民間運営のコンベンション施設は全国でも数少ない。今後は、国内はもちろん海外からも、「福岡には博多国際展示場&カンファレンスセンターがある」と広く認知されてゆくことだろう。
